Mr.Children
"DEAR WONDERFUL WORLD TOUR 2002
IT'S A WONDERFUL WORLD on DEC 21" at 横浜アリーナ (2002/12/21)
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- はじめに -
「終わりよければ全てよし」とはよく言ったもので、今回のライブは私の2002年を気持ち良く締めくくってくれました。
知っている人も多いかと思いますが、今年7月のツアー直前、桜井和寿が脳梗塞にかかり、予定されていたツアーは全て中止。しかし、桜井の早期回復により、今回、1夜限りのライブが実現したというわけです。
チケットは運良くファンクラブの先行抽選予約で当たったのですが、ファンの掲示板などを見てみると、ファンクラブの人でも取れていない人がたくさんいて・・・。今回ほど、チケットの重さを身にしみて感じたことはありませんでした。その分、行きたいのに行けないファンの人達の分まで、思いっきり楽しんで、盛り上げてこようと、強い決意でライブに臨みました。
そしてライブ本番。感想などは以下に述べてありますが、これほど感動したライブは生涯初めてでした。それはまた、今後二度と味わえないのではないかと思うくらい、素晴らしいものだったと思います。この日の出来事は私にとって一生の思い出となりました。それでは、ライブレポートをお楽しみください。
JR新横浜駅に到着したのは18時30分頃。横浜は雨が降っており、また、今年一番の冷え込みと言われるほど気温も低い。そんな中、ライブへの期待に胸を膨らませながら、幸せそうな顔で会場へと向かうファンの人達はとても印象的だった。
しかし会場の横浜アリーナ付近まで行くと、逆にチケットを取れなかった人達であふれかえっていた。「チケット譲ってください」と書かれた小さな紙を掲げ、藁にもすがるような表情で行き交う人々に視線を向けている。そんな人達の目の前を通り過ぎて会場へと進むのは、正直胸が痛んだ。あの時、あの場所にいた人達が何とかチケットを獲得してライブを観れたことを願ってやまない。
複雑な思いのまま、横浜アリーナに到着。傘をたたみ、早速会場へ入る。横浜アリーナに来るのは、おそらく2000年7月にTM NETWORKの復活ライブに来て以来だ。偶然にも「復活」という言葉がシンクロする。
私の席はアリーナC席17列目。アリーナと言っても、ほとんどスタンド席。ステージからは決して近いとは言えないが、私はその会場にいられるだけで満足だった。
席につき、じっと開演を待つ。しかし開演前の会場の雰囲気はまさに異様だった。会場にいる全員が、その瞬間を今か今かと待ち構えており、それは従来のライブでは味わうことのできない、特殊な空間を作り上げていた。私にはこの日を心待ちにしていたファンの気持ちが痛いほど伝わってきた。
開演予定の19時を10分ほど過ぎた頃。その瞬間は訪れた。
場内が暗転する。その瞬間それまでざわついていた場内からは一気に大歓声があがり、皆総立ちになる。
するとステージ上にあるスクリーンに映像が映し出された。それはニューシングル「HERO」のジャケットにも書かれている男のキャラクターが車を運転している映像だった。
ふとその男が車内にあるレコードをかける。するとそこからは「いつでも微笑みを」のイントロが流れてきた。その瞬間場内からは再び大歓声があがる。しかし音楽はすぐにストップし、今度は場内からはため息や笑い声があがる。
しばらくすると小さなSEとともに、スクリーンには文字が映し出された。
「2002 DEAR WONDERFUL WORLD」。
場内からは思わず拍手と歓声があがる。そしてステージ上には暗く青い照明が照らされている中、メンバーが姿を現した。私には肉眼では確認できなかったが、アリーナセンター席の前の方の客席から歓声があがったためそれがわかった。するとDear wonderful worldが流れ始めた。「♪Oh,Baby....」と桜井氏が第一声をあげると、場内からは悲鳴にも似た歓声が(笑)。ステージはまだ薄暗く青い照明が照らされたままなので、メンバーの姿ははっきりとは確認できなかった。
演奏が終わると無論場内は大歓声があがる。そして一瞬の静寂の後、桜井がアコギを弾き始めた。聞き覚えのあるイントロだったが、私は興奮のあまり一瞬何の曲だかわからなかった。しかし桜井がAメロを歌い始めたとき、はっきりと思い出した。CENTER OF UNIVERSEだった。まさか聴けるとは思ってもみなかったので私は一瞬頭がパニックになった(笑)。しかしこの曲の歌詞の中には「世界は素晴らしい」という言葉が出てくる。そう考えてみるとこのツアーで演奏されることは何ら不思議ではない。この曲は「Q」に収録されているが、ひょっとしたら桜井は「Q」制作時に、次回は「世界は素晴らしい」というコンセプトのアルバムを作ることを既に考えていたのではないかとすら思えてしまう。
曲を聴いたことがある人ならわかると思うが、この今日は1番のサビから激しく曲調が変わり、盛り上がるのだ。そしてちょうど1番のサビを歌い終えたところで桜井が叫ぶ。この瞬間の場内の盛り上がり様はとんでもなかった。それはまさにワールドカップのベルギー戦で鈴木が同点ゴールを決めた瞬間と同じくらい、と言えばわかってもらえるだろうか(笑)。さらに桜井はステージサイドの客席のところまで行き、ファンに手を差し伸べるもんだからそれはもう大変。ちょうどこの客席はライブ前日に急遽、追加席ということで販売されたらしい。今回そのチケットを手にしたファンにとってはたまらなかっただろう。
ちなみにこの日の桜井氏の衣装は黒いパンツに白いジャケットというシンプルなものだった。髪はスポーツ刈りとまではいかないまでも、かなり短く、やや茶色く染まっていた。
「ああ、世界は素晴らしい」と歌ったところで曲が終わる。無論場内からは拍手と大歓声があがる。そして今度は桜井が弾き語りながらなんとNOT FOUNDを歌い始めた。普通に考えたらあり得ない曲順だ。しかし彼らはそれを平然とやってのける。昨年のPOP SAURUSツアーでもそうだった。いかにいい意味でファンの期待を裏切るか。その術を彼らは熟知しているのだ。
私は「Q」ツアーには参加していないので、NOT FOUNDを聴くのは今回が初めてだったのだが、改めて曲の素晴らしさと、そのメロディに乗って響く桜井の歌声に脱帽した。
しかし驚きはNOT FOUNDだけでは終わらなかった。今度は心地よいバンドサウンドが流れ出す。それは誰もが耳にしたことのある曲、名もなき詩だった。ここでスクリーンには初めて桜井の表情がアップで映し出され、客席からは大歓声が沸きあがっていた。サビでは桜井が客席にマイクを向けて、場内全員で大合唱。私もこの日一番の声を張り上げて歌う。1番のサビをみんなで歌った後、桜井が「ありがとーう」と言う。まさかまさかの曲順連発で、気が付けば私はもう無我夢中になっていた。
続いては渇いたkiss。ここからようやくアルバム「IT'S A WONDERFUL WORLD」の曲が演奏され始める。名もなき詩で盛り上がっていた客席も、一旦落ち着き、しっとりと歌い上げる桜井の歌声に酔いしれているようだった。「桃色のケロイドに変わればいい」という歌詞に合わせてか、ステージの照明もピンク色になっていたのを覚えている。
演奏が終わり、ステージが暗くなったと思ったら今度は心地よいベル系のシンセ音色が響いてきた。それとともに薄暗く青い照明がステージを照らす。Drawingだ。スクリーンにはまさに絵が描かれているようなアニメーションCGが映し出され、場内には幻想的な雰囲気が漂う。
この曲はアルバムにも収録されているが、youthful daysのカップリングでもある。ちなみに私はこの曲が大好き。近年の彼らのバラードの中でも群を抜いて気に入っている。特に後半の盛り上がりには何度聴いても心を揺さぶられるのだ。
続いての選曲にまたしても驚かされることになる。Drawingの演奏が終わり、拍手に包まれる中、Cのコードを鳴らすピアノの音色が。桜井氏が「凛と構えた・・・」と歌いだしてようやく曲がわかった。つよがりだった。またしてもアルバム「Q」からのナンバー。以前私がMIDIを作ってこのページで流していたのを覚えている方もいるかもしれませんが、Drawingと同じくらい、私はこの曲が気に入っている(まぁ要するに彼らの曲はほとんどお気に入りばかりなんですけどね・笑)。
最初はピアノとストリングスのみによるアレンジだったが、途中からオリジナルアレンジで演奏された。まるで泣きながら訴えかけるような桜井氏の声がとても印象的だった。
演奏が終わるとステージが明るくなる。ファンもこの時を待ちわびていたのだろう。場内が否応なく盛り上がる。お待ちかねのMCだ。
桜井「どうもありがとーう!」
観客「(歓声)」
桜井「えー、ほっと一息・・・。さすがに、あのね、一日限りということで、緊張しますっす。」
観客「(笑)」
桜井「しますっす!!」
観客「(爆笑)」
思わず私も声を出して笑ってしまった。なんともなごやかな一時である。そしてMCは続く。
桜井「えー・・・(笑)、メンバー紹介します!」
観客「(拍手&歓声)」
桜井「キーボード、SUNNY!」
観客「(拍手&歓声)」
桜井「えー、そしてキーボード、浦清英!」
観客「(拍手&歓声)」
桜井「そしてギター、溝口修二!」
観客「(拍手&歓声)」
桜井「えー、MR.CHILDRENはパパッとやっちゃいましょう(笑)」
観客「(ええーーーっ)」
桜井「あのー、順番は、あれですね、夏に、僕の頭がへんてこになったときに・・・」
観客「(笑)」
桜井「あのー、へんてこなことになりまして(笑)。えー、具体的な名称が、のう・・・のうこうせつ・・・。確かそんな名称で。あ、さむい?」
観客「(笑)」
桜井「あの、カラオケとか歌ってても、"神田川"とか"妹よ"だけは上手く歌えない、厄介な・・・・
さむい?じゃあね」
観客「(爆笑)」
桜井「・・・・・・・メンバー紹介します!(笑)」
観客「(笑)」
桜井「えー、フジテレビの方、今の部分は上手にこう・・・(笑)」
観客「(爆笑)」
いや、生放送なのでそういうわけにもいかないでしょう(笑)。
桜井「さぁ、えー・・・・(笑)、一番最初に、電話をくれました。」
観客「(おおーー)」
桜井「こういう肝心かなめなときになぜか気が利く男です。中川敬輔!」
観客「(拍手&歓声)」
桜井「そして次にまた、だいたい30分くらい遅れてでしょうか。電話きまして。いつもだったら、3の線で電話してくるんですけど。だいたい酔ってるときに「いまコンパだじょ〜」とか言いながらですね」
観客「(爆笑)」
この時点で誰のことを言っているのか誰もが想像ついただろう。JENである。
桜井「バカ殿キャラで電話かけてくるんですけど、その日だけは、2の線で「おい、おまえ大丈夫か?」」
観客「(笑)」
桜井「あの、腹の中で大笑いしてました(笑)」
観客「(笑)」
桜井「そして、電話・・・したことはないんです。」
観客「(ええーーー)」
桜井「はい、あの、楽屋とかでも話すときはまぁ、ごらんの通り無口な男ですので、だいたい筆談だよね(笑)。だいたいね。」
観客「(笑)」
桜井「そんな田原くんがメールをくれまして。メールなんかびっくりですよ。田原くんなんか高校まではバットとボールしか持ったことがないという(笑)。そういう人がいまやパソコンを持っててメールを送れるという・・・。」
観客「(おぉーー)」
桜井「田原健一!」
観客「(拍手&歓声)」
桜井「えー・・・、あの・・・」
とここで桜井が先へ進もうとしたところ、客席から「JENはー?!」の声が。そう、JENだけちゃんとメンバー紹介していなかったのだ。
桜井「え?あ、JEN?JENはいいだろーーもう(笑)」
観客「(爆笑)」
桜井「JEN!!」
観客「(拍手&歓声)」
このときのJEN、なんとも嬉しそうでした(笑)。
桜井「えー、いろんな方に、心配や、ご迷惑かけましたけども・・・。3月にローリングストーンズがですね(日本に来たんですけど)、たぶん全然危険じゃないんです(あっちに比べたら)。・・・わかりますか?たぶんあっちの方が、ハラハラしながらですね、こう、いつ心臓止まるんじゃないかと・・・。」
観客「(笑)」
桜井「・・・だーーめだ今日(笑)。」
観客「(爆笑)」
桜井「えー、まぁそんなわけで(笑)、えー、続いての曲、です。」
ここで客席から今度は「桜井さんはーー!?」の声が。
桜井「え?あー、じゃあ、僕がその、のうこうせつ、になりました、桜井和寿です。」
観客「(拍手&歓声)」
桜井「えー、じゃあ、ラブソング歌います。」
観客「(大歓声)」
桜井「あのー、大好きな人のことを思って・・・隣にいればその人のことを思えばいいし。今日はあのー、クリスマススペシャルバージョンで。」
観客「(おおおーー!)」
桜井「あの、演奏は全然変わりませんけど(笑)。照明の人と映像の人に、ちょっとだけ、クリスマステイストを入れてくださいとお願いしておきました。」
観客「(拍手&歓声)」
私の後方の客席からは「”抱きしめたい”じゃない?」という声が聞こえた。私も一瞬そう思った。その瞬間、なんとも優しいイントロが流れ出した。それは「抱きしめたい」ではなく、君が好きだった。「あぁーそうだ、この曲があった」と思った(笑)。バラードというとやっぱりどうしても「抱きしめたい」を思い出してしまうので。
スクリーンにはいかにもクリスマスをイメージさせる赤と緑のCGを使った映像が流れていた。客席からも思わず拍手と歓声が沸きあがった。心が暖かくなるような心地よいメロディに会場全員が静かに聴き入っていた。
演奏が終わり、拍手が沸きあがる。すると続いては爽やかなシンセパッドの音色が聞こえてきた。そしてそれに8ビートのベースが重ねられていく。ここまでは何の曲かわからなかったが、その後桜井が叫ぶとともに場内が一斉に明るくなる。その瞬間、何度も聞き覚えのあるイントロが流れてきた。youthful daysだった。
場内からは一気に大歓声があがる。さらに桜井はステージ横の客席のところまで駆け寄り、観客の手に触れる。またしても大歓声。
スクリーンには草原と、サボテンの(?)花らしき映像が映し出されていた。もちろん私は生で聴くのは初めてだったが、本当に綺麗な曲だ。誰もが思わず一緒にメロディを口ずさんでしまうようなメロディ、そしてメンバー達の綺麗なコーラスが印象的だった。
演奏が終わり拍手と歓声があがる中、スクリーンにはだだっ広い空き地を歩く2人の少年と少女の姿が映し出された。そして聞き覚えのあるリズムが刻まれる。そのリズムですぐに何の曲かわかった。ファスナーだ。私がアルバムの中でも最も好きな曲である(しかし女性ファンの間では不評の声が高いらしい??)。少女が「目閉じて」と言って少年にキスをする。するとスクリーンには、その少年の頭の中を描いたような映像が映し出されていた。後ろ手に刃物を隠し持って少年を誘惑する女性や、顔は笑っていても心の中の素顔は無表情な人々。気づけば私は曲よりも思わず映像の方に見入ってしまっていた。ライブだけで流すのはもったいないくらいよく作られた映像だった。
続いてBird Cageへ。曲調とともに場内の雰囲気が一転する。鬼気迫るような迫力ある桜井の歌い方がとても印象に残っている。しかし彼らは何と表情豊かな音を作り上げるのだろうか。全くもって桜井氏そしてメンバーの表現力にはただただ脱帽である。
Bird Cageが終わると今度は様々なパーカッションの音色が鳴り響く。そしてそこにギターが重ねられていく。ニシエヒガシエだ。昨年のPOP SAURUSツアーとほぼ同様のアレンジだった。1番のサビを歌い終わったところでオリジナル盤のアレンジへ。田原健一のエレキギターが大音量で鳴り響く。それと同時に桜井も叫びステージ上を所狭しと走り回る。会場も極度の興奮状態に包まれていた。
つづいてはLOVEはじめました。スクリーンにはインターネットの18禁サイトらしき映像がいくつも流れ出す。ここで圧巻だったのは桜井のボーカル。目を剥き出しにして、まるで誰かに怒りをぶつけているかのように叫びまくる。その姿は衝撃的とも言えた。また、間奏部分はオリジナルとはかなり違うアレンジが施されており、「ALL YOU NEED IS LOVE!」と何度も繰り返し歌っていた。
演奏が終わるとステージは暗転。そしてどこかで聴いたことのあるような打ち込まれたドラムの音色が響いてきた。これはひょっとして・・・。
そしてリズムに合わせて切なげなシンセの音色が重なる。その瞬間、私の座っている斜め後ろの方から「キャーーッ!!!」という大きな悲鳴が聞こえた。私は叫ぶ気持ちがよくわかった。まさかこの曲をやろうとは誰が予想しただろうか。ALIVEだった。
Mr.Childrenのライブはいつも選曲に驚かされる。まさかやるわけがないだろう、というような曲をいくつも入れてくるのだ。だから彼らの場合、ライブでの曲順予想が世界一難しいバンドと言っても過言ではないだろう(笑)。
ALIVEはほぼオリジナルアレンジのままで演奏された。曲が終盤へ連れて行くにしたがって、聴く側の気持ちも高揚していく。個人的に、スケールの大きさという点からも、この曲はなんとなく「Hallerujah」に通ずるものが感じられる。
そして終わりなき旅へ。イントロが流れた瞬間場内からは拍手と歓声があがる。曲はほぼオリジナルのままで演奏された。久々に聴いたが、本当に素晴らしい曲だ。終盤に向かうにつれて曲は盛り上がりをみせる。それにつれて私も思わずウルウルきてしまった(笑)。
続いては幻想的なライトアップとともに光の射す方へ。もはやライブには欠かせない定番曲であり、サビでの桜井と観客との掛け合いが最高に盛り上がる曲だ。終盤、「光の射す方へ」と桜井が歌った瞬間、ステージ上からは花火が上がる。昨年のPOP SAURUSツアーと同じアレンジ、演出だったため一瞬昨年のライブの記憶が蘇った。曲が終わると「サンキュー!ありがとーーう!!」と叫んでメンバー達がステージを去る。最高の盛り上がりを見せたところでライブは一旦幕を閉じた。
すかさず場内からはアンコールの嵐。2、3分も経たないうちにメンバーが再びステージ上に姿を現した。無論場内からは大歓声があがる。そして今回のライブで一番の驚きだったと言っても過言ではないだろう瞬間が訪れた。
おもむろにアコギを奏でる桜井。そしてそのまま「Walking on the rainbow」と歌いだす。場内からは驚嘆と興奮と歓喜が入り混じった歓声があがる。私も驚きのあまり一瞬頭が真っ白になった。
虹の彼方へだった。2ndアルバム「KIND OF LOVE」のオープニングを飾っているナンバーだ。この曲をライブでやるのはいったいいつ以来なのだろう。少なくとも私がファンになってからは記憶にない。
観客の手拍子とともに桜井が弾き語りで1コーラス歌い上げる。大歓声があがるとともにステージは一旦暗くなった。すると今度はAnyが流れてきた。いやしかしこの曲順の流れの気持ち良さといったらなかった。またまた客席からは大歓声があがる。もちろんライブで演奏されるのは初めて。アレンジは全てオリジナルのままで演奏された。
演奏が終わるとスクリーンには低いナレーションとともに「IT'S A WONDERFUL WORLD」の文字が。そしてovertureが流れるとともに、スクリーンにゆっくりとメッセージが映し出された。
「WE'RE IN A WONDERFUL WORLD」
場内からは拍手があがる。さらにスクリーンには
「ON DEC 21 IT'S A WONDERFUL WORLD」
の文字が。overtureの壮大なBGMとともに映し出されたこのメッセージに、今日彼らが伝えたかったことすべてが凝縮されていた。
そしてそのまま蘇生へ。聴いているととても前向きな気持ちにさせてくれる曲だ。サビでは桜井が観客にマイクを向ける。すると観客が一体となって歌いだす。メンバーの演奏にのせて場内には観客の歌声が響き渡る。なんて心地いいんだろう。
蘇生が終わるとスクリーンにはオープニングのときと同様の映像が流れてきた。またしてもHEROのPVに出てくる人形のおじさんが目の前にあるレコードをかける。するといつでも微笑みをが流れてきた。場内からは自然と手拍子が湧き上がる。桜井が歌い始めると、スクリーンには可愛いニワトリやらヒヨコやらの映像が映し出された。思わず心が温かくなる。終盤「いつでも微笑みを」と歌うところはオリジナルよりも多く繰り返し歌われ、桜井はステージ上を走り回っていた。
個人的にこの曲はアルバムの中で3本の指に入るくらい大好きな曲だ。初めて聴いたとき、「もし僕がこの世から巣立っていっても、君の中で僕は生き続けるだろう。そう思えばなんとかやっていけそうだよ。」という歌詞にたまらなく感動したのを今でもよく覚えている。
演奏が終わるとIt's a wonderful worldへ。スクリーンには水面やら路頭にさまよっている犬の映像などが映し出される。
僕らが生きているこの世界は美しく素晴らしいものなんだと、そういうメッセージが痛いほど伝わってきた。演奏、詩、スクリーンの映像、そしてこのときの会場の雰囲気は何とも言えないものがあった。
最後の伴奏が奏でられる中、桜井が「どうもありがとう、また会いましょう、バイバイ。」と話す。これで終わりかと思われたが、この曲がまだ残っていた。そのままHEROが流れてきた。It's〜が終わったところで私の中で一区切りついていたので、この曲は私にとってはボーナストラック的なものだった。最初から最後まで、じっくり聴き入るつもりが、自然と桜井と一緒に歌っている自分がいた。
演奏が終わるとステージが明るくなり、メンバー達が前に出てくる。桜井が何度も何度も「ありがとう」と言う。
桜井「えー、ほんとに・・・こんな気持ちになるとは思っても・・・みなかったくらい、感動しております。ほんとにどうもありがとう!」
観客「(大歓声)」
桜井「また会おうねー!サンキュー!ありがとう!どうもありがとーう!バイバイ!」
そしてメンバー4人がそれぞれステージの端から端まで移動して観客に向かって挨拶をする。中でもJENが一番嬉しそうだった(笑)。
桜井「またねサンキュー!ほんっとにありがとう!バイバーイ!」
メンバーがステージを去り、気がつくと場内には空風の帰り道が流れていた。
すると突然アリーナ席から歓声が。どうやら2階席に窪塚洋介が観に来ていて、客席に手を振っていたようだ(笑)。
こうしてMr.Childrenの復活ライブは幕を閉じた。
私はその場に座り、ライブの余韻に浸りながら、最後まで「空風の帰り道」を口ずさんでいた。
Mr.Children
"DEAR WONDERFUL WORLD TOUR 2002
IT'S A WONDERFUL WORLD on DEC 21" at 横浜アリーナ (2002/12/21)
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- Dear wonderful world
- CENTER OF UNIVERSE
- NOT FOUND
- 名もなき詩
- 渇いたkiss
- Drawing
- つよがり
- 君が好き
- youthful days
- ファスナー
- Bird Cage
- ニシエヒガシエ
- LOVEはじめました
- ALIVE
- 終わりなき旅
- 光の射す方へ
Encore.
- 虹の彼方へ-弾き語り-
- Any
- いつでも微笑みを
- overture
- 蘇生
- It's a wonderful world
- HERO
S.E. 空風の帰り道
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-おわりに-
蘇生で2番のAメロに差し掛かったとき、私の頬を伝わるものが。ええ、なぜか、自然と涙が出てきました(笑)。どういう感情が沸いてきたのか自分でもよくわからなかったのですが。ほんと、無意識に、ふと気づいたら泣いちゃってました。そのときの自分の悩みとかがすごくちっぽけなものに思えてきましたし、こうしてファン同士がひとつになって、みんながそれぞれライブを心から楽しんで盛り上げている、そんな空間にいることに対して歓びを感じました。つまり一言で言うと、心底感動したんです。
少し余談になりますが、ミスチルはメロディもさることながら、詞が特に素晴らしいと思います。これほどメロディと歌詞がマッチして素晴らしい楽曲に仕上げられているアーティストは世界でも随一と言っていいかもしれないですね。
しかしながら、反面、「ミスチルが好きな男はダメな男だ」という話も最近ちらほら聞かれます(笑)。おそらく人間の、特に男の弱い部分、核心的な部分をあからさまに歌っている詩が多いからでしょう。確かに自分でも頷ける部分がありますし(笑)。
でも、自分の弱い部分を素直に弱いと認めることができる人こそ、本当に強い人間になれるんじゃないかと、私は思いますね。だから私はこれからも彼らのファンでいつづけるでしょう。
ともあれ、今回はとにかく桜井さんが無事最後まで元気な姿を見せてくれたというのが、一番良かったですね。安心しました。そして今回のライブ、私の中では生涯最高のライブといえそうです。ちょうどこのライブが行われるまでは、あまり良くないことが続いていたりしたのですが、このライブのおかげで2002年を気持ちよく締めくくることができました。2003年、本格的な復活を遂げるであろう彼らの活躍が楽しみです。
では、一緒にライブを楽しんだ皆さん、お疲れ様でした。また次のライブで会いましょう。
2003.1.31 Y.Tanaka
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