徳永英明
黄色い幸せの種 at 新宿厚生年金会館 (2004/1/17)
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2004年最初のライブは徳永英明。場所は新宿駅から歩いて15分ほどのところにある、東京厚生年金会館。私はこの場所に足を運ぶのはもちろん初めてだった。結婚式場などの催し物にも使われている、大きくて綺麗な所だった。徳永のようなアーティストがライブをやるにはもってこいの会場だと思う。
この日は会場へ向かう途中に伊勢丹とか寄ってしまったため、会場に到着したのはちょうど開演時間となる18時。場内に入ると、既に「間もなく開演です」のアナウンスが。トイレを済ませて颯爽と座席に着く。
すると間もなくSEが聴こえてきて場内が暗くなった。あちこちから歓声があがる。女性ファンの「徳さーん!」という歓声はもちろん、それに対抗するかのように男性の「ヒデアキィィーーー!!」という声が場内にこだますると、場内からは笑いとともに大きな拍手が(笑)。
そしてまだ照明は暗い中、一人一人、メンバーがステージ上に姿を現す。すると西脇さんに薄暗く青いライトが照らされる。オープニングナンバーは青い契り。徳永が最初のメロディを歌いだすと場内から拍手があがる。この曲は終始西脇さんのピアノのみで演奏された。
続いてはギターの古川さんにスポットライトが当たり、イントロを弾きはじめる。そこへ西脇さんの何とも言えない心地よいハーモニカが重なる。僕のそばにだった。青い契りとは打って変わって、甘い歌声が響き渡る。もちろん私は生でこの曲を聴くのは初めてだったため、その歌声にもうメロメロ(笑)。
そしてこの日最初のMCへ。
徳永「こんばんは。徳永英明です。」
観客「(拍手&歓声)」
徳永「えー、こうして2004年も、ステージに立って歌うことができて、本当に幸せです。東京での3公演も残すところあと2回です。えー・・・思えばこの2年間、僕はいろいろ悩みました。でも、きっと・・・その悩みって実際たいしたことないんだよね。俺は特にこの2年間一生懸命頑張ってきたと思ってたのよ。でもきっと”あーすんげえ俺一生懸命やってる”って思ってるのは実はあんまり体力使ってなくて、逆に、ボーっとしたり、何も考えてなかったりしてるときが実はすげー頑張ってたりするんじゃないかって。やっぱり、後になって”あー俺あのとき一生懸命やってたな”って思えることが、一生懸命やったってことなんじゃないかと思う。だから今日の俺は一生懸命やらないつもりで、いや、一生懸命やるけど(笑)、あまり深く考えず、しっかりと皆さんに精一杯の歌を届けたいと思います。今日は最後までゆっくり楽しんでいってください。」
そして聴きなれたイントロが聴こえただけで場内からは拍手があがる。輝きながら・・・。これは今まで聴いたことのないアレンジで演奏されたが、今回のライブの中でも一番気持ち良いものだった。特にギターアレンジが最高。こんなバンド組んでみたいなぁ(笑)。
続いては夢を信じて。これはセルフカバーアルバムに収録されたものとほぼ同じアレンジ。昨年の「赤い太陽の日」で聴いたときとはまた全然違うアレンジなのだが、オリジナルとはまた全然違った心地よさがある。それが徳永の楽曲のマジックとでも言うべきだろうか。
曲が終わると再びMCへ。
徳永「いやー今日はなんか、皆さんとの間合いが絶妙だね(笑)」
観客「(拍手&歓声)」
徳永「あの、今日は雪降ったんだよね?何時ごろから降ったの?」
観客の1人が「9時!」と答えたらしく。
徳永「あ、そう、9時から降ってるんだ。まだ降ってるの?」
観客との会話のやりとりを楽しんでいるかのような和やかなMCが続く。
徳永「あの、次にやる曲は雪とはあんま関係ないんだけど(笑)、デビュー曲を聴いてください。レイニーブルー。」
ウッドベースの音色が心地よく響き渡る。レイニーブルーは過去にもアレンジを変えてCDに収録されているが、今回は最新カバーアルバムに収録されたアレンジでの演奏だった。後半の盛り上がりでは席につきながら思わず口ずさんでしまいました。
続いてはI love you。前回、前々回のライブではほとんどがここ最近の作品ばかりだったせいもあるが、あまりに懐かしい曲連発で私にとってはまさに夢のような一時だった。
曲が終わるとMCへ。
徳永「いやーでもほんと、CDは売れなくなったのに前回よりもたくさんのファンが来てくれて(笑)嬉しいです。なんでやろね、CDは前に比べると全然売れなくなったのに、ライブには前より多くのファンが来てくれるちゅうのは(笑)」
観客「(爆笑&歓声)」
徳永「いやでもね、俺も、もう、あまりCDをやたらめったらに出したくない、というのは、正直ある。昨日と一昨日もちょっとディレクターと話ししたんだけど、僕らの子供達、いわば分身ですよ、その子たちが聞いて、ああいいなーって思ってもらえるような音楽を、俺はつくっていかないといかんのよ。」
以外にも最近の音楽業界に関する話が飛び出した。やはり徳永さんもここ最近、あまり良いとは思えない音楽が流行していること、そしてそれを聞いている子供達のことを危惧しているようだった。淡々と語りながらも、実は重要な問題を投げかけた徳永。メッセージは日本の音楽業界に届いただろうか・・・。
徳永「そういやね、俺は昔、ファンの中にあるイメージと、実物のギャップが激しかったらしいのね。昔のファンの人達、まだ俺がライブやる前にファンになった人達はね、もう、俺のことを白馬に乗った王子様だと思っていたらしいのよ(笑)」
観客「(爆笑)」
徳永「いやホント、ホンマに(笑)。でね、ライブに来て実際(俺のこと)観てみるじゃない、そうするとね・・・もう、ほんとガーッカリしたって(笑)。あまりにイメージとかけはなれてたから(笑)」
観客「(笑)」
徳永「まぁでもこれからもね、いい音楽を届けたいと思っているんだけど、逆に俺は今すごい楽しみなのね、今後。すげー(ひざをカクカクさせながら)ワクワクしてるの。」
観客「(笑)」
徳永「はい、西脇くんも、ワク・ワク」
そう言って西脇さんにも同じジェスチャーを要求する徳永さん。そしてそれにこたえる西脇さん。会場は笑いの渦に。
徳永「で、こっからシビアな曲いきますからね!(笑)君は君でいたいのに。」
今のところ、リリースされている徳永作品の中では最も新しい作品である。しかしどこか懐かしさを感じさせる曲でもある。これは西脇さんのピアノのみで演奏された。
そして今回のライブで最も幸せな瞬間が訪れる。アレンジはオリジナルと違っていたが、イントロで西脇さんのエレピが聴こえてきた時点で何の曲だかすぐにわかった。それは私が彼の作品の中で最も好きな曲でもあり、最も聴きたかった曲。太陽がいっぱいだった。感無量とはまさにこのことである。「赤い太陽の日」で「夢を信じて」を聴いたときと同じような感覚だった。感動のあまり頭の中が真っ白になった。
曲が終わり、歓声に包まれる中、MCへ。
徳永「あのね、山の上から呼ぶのやめてくれる?”とおおーーーくさぁーーーーん”って。”いーーきてーーーるかーーーー”って(笑)」
観客「(笑)」
徳永「えー、メンバー紹介します!」
今回のサポートメンバーはキーボードに西脇辰弥さん、ベースにゲタ夫さん、ドラムに小田原豊さん、パーカッションにキムチさん、ギターに古川昌義さんの5名(紹介順)。
徳永「西脇くんはね、母性本能をくすぐるんだよね。」
そして観客から「西脇さん帽子かわいいーー!」の声あがると、すかさず徳永さん。
徳永「俺のこの手ぬぐいは何も言ってくれんの!?(笑)」
観客「(笑)」
そしてベースのゲタ夫さんの紹介の際では。
徳永「この人はね、いっつも動いてるんだよね(笑)」
観客「(笑)」
徳永「去年ツアー観に来てくれた俺の友達がね、”徳ちゃん、あの後ろの人・・・いっつも動いてるよね”って(笑)」
観客「(爆笑)」
徳永「あのね、いい意味でも悪い意味でもなく、俺の知ってるミュージシャンの中で一番落ち着きがない!(笑)。だって、楽屋にいないもん!絶対(笑)」
観客「(爆笑)」
確かにベースの人はほんっとにどの曲でもふらふらしてました。でもとても気持ち良さそうに弾いてるように見えましたけどね。逆に言えば酔っ払って弾いてるかのようにも見えましたけど(笑)。
そして小田原さんの紹介では元レベッカということを何度も強調(笑)。パーカッションのキムチさんの紹介では、ラテン系のライブではゲタ夫さんとキムチさんは必ずどっちか1人は参加してるから、見に行ってあげてください、みたいなこと言ってました。
そして徳永さんが小田原さんに問い掛ける。
徳永「じゃ小田原君、次の曲は何ですか?」
小田原「BIRDS。」
一斉に大歓声があがる。心地よいアコースティックギターの音色とともにBIRDSへ。ここでこれまで座席に座っていたファンが一斉に立ち上がり始める。さらにcallへ。これは彼がもやもや病にかかる前、TBSスーパーサッカーのキャスターを務めていたときのテーマ曲でもある。
そしてライブは最高潮の時を迎える。青い照明とともに、イントロでシンセパッドの音色が流れ出すと既に歓声が。Wednesday Moonへ。いやーーーこれはまさか聴けるとは思わなかった。徳永もステージを所狭しと走り回りながら歌う。これは私がまだ中学の頃の曲。確かレンタルCD屋ではじめて借りたCDだった気がする(笑)。
そして曲が終わるとまさかまさかのMYKONOSへ。10年以上前、アルバム「INTRO.U」ばかり聴いていたころのあの頃の記憶が蘇る。懐かしすぎて一瞬何の曲だかわからなかったくらい。
曲が終わると本編最後のMCへ。
徳永「俺ね、デビュー前の頃はすげーことやってたなぁーって。昔の友人とかに聞くとね、朝からバイトして、昼もバイトして夜もバイトして、でアマチュアだったから、メンバーやとって、メンバーにメシ食わせて、家まで送って、そんなことやってた。」
場内からは「えぇーーっ」という驚嘆の声があがっていた。
徳永「でもね、楽しかったから、全然苦じゃなかったのよ。自分の夢のために頑張るってことは、全然苦じゃなかった。キーワードは夢。夢を持って、この歌を、歌いたいと思います。聴いてください。夢。」
そして一旦ライブは幕を閉じる。
すぐさま場内からはアンコールの嵐。そして再びメンバーが登場する。
演奏されたのはoneness。ここでは「青い銀河の夜」で放映された映像がスクリーンに映し出される。この映像がめちゃくちゃ面白い映像で。前回もそうだったけど、今回もとにかく笑いをこらえるのに必死でした(笑)。
そしてこの日最後のMCへ。
徳永「なんかほんと今日は心で通じ合ってるような感じがしていいね。あ、心で思い出したけど、俺、小学校の頃、書道で好きな字を一つ書きなさいって言われたとき、必ず”心”って字を書いてたのよ。僕の歌がみんなの心に響いて・・・みんなの歌声は・・・みんなの歌声やな(笑)」
観客「(笑)」
徳永「今日は大晦日?いや、明日が大晦日やな。実はあの、2月の27日に、バースデーライブイベントのようなものを名古屋でやることになりまして。で、28、29にもイベントをやるんですがなんと「BOY'S NIGHT」という、男だけのイベントをやることになりまして。それが28日。29日は「GIRL'S NIGHT」をやるんですけど。両方とも150人くらいしか入らないですけど、ガールズナイトはね、もうすぐ一杯になっちゃって、150人に入れない人がたくさんいるんですけど、ボーイズナイト!これがね、募集したところなんと!56人しか集まらなくってさ!(笑)」
観客「(爆笑)」
徳永「だからもし足りなかったら、女性の皆さん、性転換してください。」
観客「(爆笑)」
徳永「でもほんとこのまま150人に達しなかったら、それはもう女性の皆さんをね、ロープ3本くらい隔てて一番後ろの方でだけど(笑)。で、女性は一言も喋っちゃいけないっていう(笑)」
観客「(ええーーーっ)」
徳永「まぁ、なんとかなるでしょう(笑)。でもね、今日はほんとたくさん人が待っててくれたんだって思えて嬉しい。それもね、男性がたくさん待っててくれたっていう。やっぱり同姓から支持を受けるのはね、ほんっと嬉しいんですよ。」
観客「(拍手&歓声)」
数少ない(?)男性の徳永ファンとしてはちょっと誇らしい一時だった。
そしてライブは終わりを迎える。
徳永「歌える人は一緒に歌ってください。」
そう言って始まったのはなんと君の青。徳永がマイクをファンに向ける。サビは全員で歌い上げる。「赤い太陽の日」で味わった感動が再び蘇った。そしてラストはあの時と同じく、愛をくださいへ。その心地よさのあまりに思わず涙が出てきそうになった。これほどまでに感動的なライブは彼以外では作り出せないだろう。
演奏が終わるとメンバー全員でステージ前へ出てきて、手をつないだまま一礼。場内はもちろん拍手と歓声の嵐がわきおこる。
いやぁ・・・もう文句なし。お腹一杯、徳永ワールドを満喫させてもらった。過去2回のライブと比べても間違いなく最高のライブでした。
今年もいいライブがたくさん観れるような気がします。ありがとう徳永さん。
徳永英明
黄色い幸せの種 at 新宿厚生年金会館 (2004/1/17)
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- 青い契り
- 僕のそばに
- 輝きながら・・・
- 夢を信じて
- レイニーブルー
- I love you
- 君は君でいたいのに
- 太陽がいっぱい
- BIRDS
- call
- Wednesday Moon
- MYKONOS
- 夢
Encore.
- oneness
- 君の青 〜 愛をください
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-おわりに-
徳永のライブは、嫌なことや辛いこととか、何もかも忘れさせてくれます。真っ白になれるんです。そして、クサイようですが、少年の頃の心を思い出させてくれるんですよね。純粋な気持ちで楽しめる。ライブを観ている間僕は、中学1年の頃、「夢を信じて」を初めて聴いてファンになって、夢中で「INTRO.U」を聴いていたあの頃に戻れるんです。
感覚としては、何て言うんでしょうかね・・・真っ青に晴れた大空をフワフワ飛んでいるかのような錯覚に陥るんです。もうこれは彼のライブでしか味わえない独特の世界ですね。
何はともあれ、この1年、彼にとっては再起の時だったと思います。それをこうやって暖かいファンとともに迎えられて、徳永さんも本当に幸せなんではないでしょうか。僕もこれからもずっとついていきます。また、僕らが子供達に伝えていけるような良い音楽を作りつづけてください。
それでは一緒にライブを楽しんだ皆さん、お疲れ様でした。
ボーイズナイトでは会えないけど(笑)、また次のツアーで会いましょう。
2004.1.25 youhei
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