TM NETWORK
Log-on to 21st Century at 横浜アリーナ(2000/7/27)

JR新横浜駅の改札を出ると、雨がポツポツと降り始めていた。
開演15分前、横浜アリーナ入り口に到着。入り口にはものすごい人だかりができており、なかなか入場できる状態ではなかった。
人ごみを掻き分け、なんとか開演5分前に着席。すでに横浜アリーナはほぼ満員の観客で埋め尽くされていた。客層はやはり7:3くらいの割合で女性の方が多かった。

開演時刻の19時を過ぎると、横浜アリーナ天井から吊るされているスクリーンに、今回のライブのサポートである「Rojam.com」のCMが流れ始めた。
5分ほど経ったところでCMは終了。それからわずか数秒後のことだった。突然照明が激しく点滅するとともに、KISS YOUのサビの部分をサンプリングした音が流れた。

「I kiss you for kiss you for kiss you for Bright & Dark!」

会場の人達はその音に即座に反応し歓声をあげ、たちまちオールスタンディング状態に。そして照明は真っ暗になる。耳を劈くような凄まじい歓声があがる。その後何度も何度もKISS YOUのサンプリング音が流れる。それが数十秒間続いたころ、突然音が途絶えた。

そしてステージ中央から白いスモークがたちこめた。3つの黒いの影がこちらに歩いてくるのが見えた。
次の瞬間、何が起こるかは、会場の誰もがわかっていた。そして願っていた。
TM NETWORKの登場である。
ステージ向かって左から小室哲哉、宇都宮隆、木根尚登と、3人がそろって真っ白な衣装を着て、ゆっくりと白い霧の中から現れた。
もう言葉は何もいらなかった。3人が同じステージの上に立っている。それだけでファンにとっては夢のような出来事なのだ。
3人がステージ中央で数秒間立ち止まる。もはや場内はライブの最高潮を迎えたかのような熱気に包まれ、あちこちから歓声があがっていた。その後小室哲哉はキーボードセット(ステージ左側)へ、木根尚登はステージ右側へ、ウツはそのまま中央のマイクスタンドの前に立つ。
「このステージは宇都宮隆でもなく木根尚登でもなく、TM NETWORKのステージなんだ」と、「これからTM NETWORKのライブが始まるんだ」と、そう思わせるオープニングだった。

そして1曲目はなんとKISS YOUから始まった。今までのTMのライブでは頻繁に演奏されてきた曲である。何故この曲を1曲目に持ってきたのか。それは小室みつ子さんによって書かれた詩を見ると明らかになる。

「君をとりまいた かつては夢だった現実 気づいているか」
「君を引き寄せた かつては夢だった現実 忘れてないか」

TM NETWORK復活はファンの誰もが夢見たことだった。そしてそれはTMのファンと、TM NETWORK自身の力によって、このときはっきりと現実になったのである。"KISS YOU"の"YOU"とは、まぎれもなくこのとき横浜アリーナにいたファンの人々、そして日本中、世界中でTMのことを応援してきた人々のことを指していた。このKISS YOUは、TM NETWORKからファンに向けての最初に伝えるべきメッセージだったのだ。

KISS YOUが終わるとHappiness×3 Loneliness×3へ。TM NETWORKが再始動してからの最新シングルとなっている曲だが、この曲はライブで聴くほうが全然良い!(笑)
CDのオリジナルバージョンだと、サビの部分がどこか中途ハンパで弱かったのだが、ライブではウツが思いっきりサビを歌ってくれていたので、こちらも思いっきりノることができた(笑)。

そして次の曲がこのライブ最大の驚きと言っても過言ではないだろう。初期のTMを思わせるSFチックなイントロとリリック。まさかまさかのパノラマジックである。
おそらく今回のライブで1番か2番目に盛りあがった瞬間がこのパノラマジックのイントロが流れた瞬間だったのではないだろうか。1stアルバムの中から1曲やってくれるという話は聞いてはいたが、まさかパノラマジックをやってくれるとは・・・。この曲をライブで聴けるのは私にとってはこれが最初で最後じゃないかと思ったので、先生、ウツ、木根さんそれぞれの演奏する姿を私はしっかりと目に焼き付けておいた。それにしてもこの曲が16年も前に作られた作品だとはとても信じ難い。

パノラマジックが終わると、ステージが明るくなる。この日最初のMCだ。

ウツ「ひさしぶり!元気でしたか?(←いきなりセリフ噛んでしまったウツ。ウツ本人もファンからも笑いがこぼれる)」
ウツ「TM NETWORKのライブにようこそ!みんな今日は思いっきり自分なりに楽しんでいってくださいね。」

ファンから歓声があがるとともにステージが暗くなる。しばらくすると、今度はなんとあの夏を忘れないのイントロが流れてきた。もう、1曲1曲が驚きの連続である(笑)。時期的に夏だったこともありこの曲を選曲したのだろうが、「EXPO」から曲を選曲してくれたのが嬉しかった。なぜならTM NETWORKの復活ということで、TMN時代の曲はあまりやってくれないのではないかと思っていたからだ。
とりあえず私は「EXPO」から何か1曲演奏してくれればと思っていたので、ぶっちゃけた話、曲は何でも構わなかったんだけど(笑)、やっぱりいい曲だったぁ・・・。

続いては待ってました永遠のパスポート。たぶんTMの中では個人的にベスト3には入るくらい大好きな曲で、これを聴ければ今回のライブは満足だと思っていたくらい(笑)。生で聴けて本当に嬉しかった。思わず涙が出そうになったほどだ。アレンジはファイナルのときとほぼ同じで、ラストは先生のストリングスで終わるバージョン。この終わり方が大好きなんです。私はファイナルのビデオを初めて見たとき、このシンセソロを耳コピしてよく練習してました。懐かしい(笑)

永遠のパスポートが終わると、この日2回目のMCへ。

ウツ「えー、懐かしい曲が続いてますが・・・(笑)。次の曲もとても懐かしい曲なんですが、アルバム「humansystem」の中から・・・(場内歓声)、この曲を、聴いてください。」

会場にいた人全員が「何だろう、何だろう」と、humansystemに収録されている曲を頭に思い浮かべたに違いない(笑)。もちろん私もその一人だった。そして流れてきたイントロは、なんとTelephone Lineだった。場内からは懐かしさと嬉しさが混ざったような歓声があがる。アレンジはオリジナルバージョンとほぼ同じだったが、先生は終始オルガンを弾いていた。オルガンを自分の手足のように扱う先生は本当にカッコ良かった。最後のサビの部分では真っ暗だったステージの天井に星のようなキレイな照明が照らし出され、何とも幻想的な雰囲気に包まれる。同時に場内からも歓声があがる。演奏が終わると誰もが自然と拍手をしていた。

続いてBEYOND THE TIMEへ。ここではTelephone Lineのときとは対照に派手なライティングだった。ステージの端から端まで、縦に何本もの白い照明が照らし出された。丁度ファイナルのLove Trainのイントロのときのような照明だったと思う。しかしBEYOND THE TIMEなんて、ファイナルでも演奏しなかった曲だから、演奏するのは何年ぶりになるんだろう。時を越えて1988年のときのTMが現代にやってきたような気分になった。この曲もアレンジはオリジナルバージョンとほぼ同じだった。

最後のサビを歌い終わると、演奏が終わる前にウツがステージ上から姿を消した。そして怒涛なまでの小室哲哉のキーボードソロが始まる。

聞こえてきたのはCarolのイントロ。演奏はグランドピアノだった。場内は静まり返り、皆先生の演奏に集中している。
Carolのメロディがピアノの旋律でアレンジされ、喚起のついた展開をみせる。なんと途中ではバンドも入った。彼のキーボードソロの新境地を垣間見た気がする。
そして昨今では定番(?)となったハモンドオルガンソロへ。ここで先生はオルガンの上に飛び乗った!たぶんファンのほとんどが期待していたパフォーマンスなだけに(笑)、歓声も大きくなる。そのまま反対側へ飛び降り、逆さのままオルガンを弾きつづける先生。そしてオルガンを持ち上げ、床にたたきつけるようにして場内に振動音を響かせる。時にはオルガンの両端から火花があがり、時には激しい爆発音とともにオルガンの中央部から火花が散る。

そして先生の演奏に再びバンドが加わる。ウツもステージ脇から再び登場した。このまま曲を歌うのか?と考えたが、ステージからは聞き覚えのない、ユーロビート調の曲が流れている。新曲か?とも思ったが、途中から聴いたことのあるメロディが聞こえてきた。なんとそれはChildren of the New Centuryだった。イントロや間奏は、原曲とはかなり違うアレンジが施されており、また気づいた人も多いだろうが、歌詞が一部変わっていた。「(原曲)1988 君はここにいる」の部分が「(New Version)1994 君はそこにいた」に。また、「(原曲)1999 君はどこにいる」の部分が「(New Version)2000 君はここにいる」にそれぞれ変わっていた(はっきりと覚えてないので間違っているかもしれません)。
一部分だけだが、あまりに違うアレンジだったので、この曲はニューアルバムにリミックスされて収録されるのではないかと思ったほどだ。

Children〜が終わると、続いて先生がピアノで静かにメロディを奏でる。Human Systemだ。アルバムhumansystemからの曲が続く。ラストのサビ「♪She is here and he is there〜」の部分では、一度演奏が止まり、場内全員での大合唱になった。
思えば今回のライブはこのアルバムから5曲も演奏されていた。「humansystem」はTM NETWORK本人達が一番気に入っているアルバムということもあったのだろうが、個人的にも嬉しい限りであった。

続いてSelf Controlへ。ライブの盛り上がりはこの曲を皮切りに最高潮へ導かれていく。と同時に私自身も壊れて行く(笑)
アレンジはファイナルのときとほぼ同じ。イントロはストリングスから始まった。サビではもちろん全員で「♪Self Control」。何度も何度も、もうこのまま永遠に続くのではないかと思うくらい「Self Control」を歌いつづけた。

そして次の曲は、イントロが聞こえたと同時に凄まじい大歓声。この日一番の大歓声だったかもしれない。DIVE INTO YOUR BODYだ。この曲はライブのために作られたのではないかと思うくらい、最高に盛りあがる曲だ。(小室哲哉本人は、カラオケを意識して作ったと言っているが)
「We say yeah!」の部分では観客全員が飛びあがる。楽しすぎる。今何時なのかとか、仕事のこととか、明日の富士山登山のことなど完全に忘れていた(笑)。ずっと歌いつづけていたために、最後の「la la la...」ではすでに私は喉がガラガラ状態に(笑)。

体力的にもへなちょこな私はもう汗だくでヘトヘト。しかしそこへ追い討ちをかけるように(笑)Be Togetherが始まった。イントロのウツのセリフが聞こえてくると瞬く間に場内は大歓声に包まれる。この曲はイントロから「さぁいくぞ、いくぞー」という盛り上がる感じがたまらなく好きだ。サビの「Be Together」は場内全員で叫ぶ。先生のキーボードソロも最高にカッコイイ。

終始タテノリ状態のままあっという間に演奏が終わった。するとウツがいつのまにかステージから消えていた。聞えてきたのはインストの曲。よく聴いてみると、テンポやアレンジは若干違っていたが、間違いなくThink of Earthだった。小室哲哉のボーカルが聴けるのか?と期待していたのだが、途中から聞き覚えのない曲に変わってしまった(笑)。インストの曲が終わると、先生がショルダーキーボード(KX-5)を持ってステージ中央に出てきた。先生がキーをひとつたたくと、Get Wildのサビの部分をサンプリングした音が流れる。無論場内は大歓声。この後ステージ上は小室哲哉の独壇場と化すことになる。

しばらくKX-5のみでのシンセソロが続いていたが、途中でキーボードセットが置いてある場所へ戻り、何やらシンセ(TRITONか?)を操作する。するとGet Wild Dacade Runの音源が流れてきた。今度はそれに合わせてKX-5を弾きまくる先生。
先生がステージ上を歩き回り、場内は異様な雰囲気につつまれる。そして「いくぞー」とばかりに先生が人差し指を突き上げる。次の瞬間、KX-5を床に叩きつけ、物凄い爆発でもおこったかのような音が場内に響き渡る。それを2,3度繰り返しすと、最後はKX-5になんとTM NETWORK3人のサインを入れ、アリーナ席のファンに向かって投げ入れた。場内からは「ああーー!」という羨ましそうな歓声があちこちからあがる(笑)。

先生がキーボードセットの場所へ戻ると、Get Wildが始まった。この曲はTM NETWORKとともに、時間が経つごとに進化している気がする。バージョンはオリジナルとも'89ともDecade Runとも微妙に違っていた。なにはともあれ、私は「Wild & Tough!」と歌えただけで十分満足だった(笑)。

演奏が終わると、ウツがサポートメンバーも含めて全員をステージ中央へ呼び集めた。そして全員で観客に向かって礼をする。ファンはそれに対して皆拍手で応えていた。そのままメンバーはステージを去り照明は真っ暗に。場内からは即座にアンコール。気がつくとどこからかウェーブが起こっていた。何度かウェーブを繰り返しているうちに、ステージが突然明るくなる。再びTM NETWORKが登場した。待ってましたと言わんばかりに大歓声に包まれる。そしてこの日最後のMCへ。

ウツ「どうもありがとう」
観客「(大歓声)」
ウツ「えーここでTMから重大なお知らせがあります。知っていると思いますが、今年から来年にかけて、全国ツアーをやります」
観客「(大歓声)」
ウツ「小室先生が倒れない限りね(笑)」

そう言って先生の方を見るウツ。スクリーンには苦笑いした先生の表情が映し出される。会場は穏やかな空気に包まれ、MCは続く。

ウツ「それでは最後の曲を聴いてもらいますが・・・」
観客「えーーーー!!!(奇声とも言えるくらいの大歓声(笑))」
ウツ「(苦笑いして)いや、昔からTMはアンコールは短いという・・・」
観客「(再び)えーーーーー!!!」
ウツ「この「えーー」を聴きながら最後の曲を歌うわけですが(笑)」
観客「(笑)」

ここで木根さんから言われ、あることに気づくウツ。

ウツ「あ、そうか。ごめん、メンバー紹介を忘れていました(笑)」
観客「(爆笑)」
ウツ「ごめん、TMの雰囲気にまだ慣れていないもので・・・(笑)」
木根「段々慣れてこ」
ウツ「うん。段々ね(笑)。(笑いながら木根さんに向かって)ありがとう」

なんてほのぼのしたMCなんだろう(笑)。
でも、アンコールにきて、やっと木根さんが喋ってくれた(笑)。たぶんTM NETWORKのライブということで、あまり喋らないように脇役に撤しようという考えがあったのだろうけど、もう少し喋って欲しかったなぁ。それにしても木根さん、いい味出しすぎ(笑)。

ウツ「では、バンドのメンバーを紹介します」

今回のサポートメンバーは以下の通り(紹介順)
・木村健(Gt)
・吉村龍太(Key)
・山田亘(Dr)
・葛城哲哉(Gt)
やはり葛城さんのときが歓声が一番大きかった。来るのではないかと噂された浅倉の大ちゃんは結局姿を見せず。
余談だがglobeのKEIKOとMARCはスタンド席からライブを観ていたらしい。

そして最後のMCは続く。

ウツ「久しぶりにTM NETWORKらしいコンサートが出来たね。」
観客「(大歓声)」
ウツ「えー、僕らは懐かしむために集まったわけじゃないんで・・・これからのTMも応援していって欲しいです。最後に聞いてもらう曲は・・・新曲です。」
観客「(大歓声)」
ウツ「では、聴いてください。Message。」

みつ子さん作詞、先生作曲によるミディアムバラードだった。ライブのラストに新曲を持ってくるということは、メンバー自身も相当自信を持っている曲なのだろうが、この曲はほんとに素晴らしい曲だった。TM NETWORKが再始動してから発表された曲の中では、間違いなく一番の出来だと思う。そして今回のライブで彼らが伝えたかったことは、すべてこの曲に集約されていた。

「Everything you see is a message」

演奏が終わるとオープニングのときと同様に3人がステージ中央に立った。すると子供の声で、Seven Days Warのコーラスが流れてきた。瞬く間に場内はSeven Days Warの大合唱。ファンの歌声を聴きながら、3人は白い霧の中をゆっくりと立ち去って行った。



TM NETWORK
Log-on to 21st Century at 横浜アリーナ(2000/7/27)

  1. KISS YOU
  2. Happiness×3 Loneliness×3
  3. パノラマジック
  4. あの夏を忘れない
  5. 永遠のパスポート
  6. Telephone Line
  7. BEYOND THE TIME
  8. Carol組曲〜TK piano & hammond solo〜
  9. Children of the New Century Ver.2000
  10. Human System
  11. Self Control
  12. DIVE INTO YOUR BODY
  13. Be Together
  14. Instrumental -Think of Earth〜New Song〜TK Synth solo-
  15. Get Wild
    Encore.
  16. Message -New Song-
    S.E. Seven Days War


-おわりに-
私にとって初めてのTMライブ。これほど時間を忘れてライブに集中したことは今までになかっただろう。最初から最後まで、感動と興奮を味わい続けた、最高のライブだった。私にとってTM NETWORKというのはやはり特別な存在なんだということを改めて実感した一夜だった。そして何よりも、新曲の「Message」が素晴らしい曲だったことが嬉しかった。今後の彼らの活躍が目に見えてくるようだ。
話は変わるが、ウツのMCは何とも言いがたい、独特の雰囲気があった。それが今回のライブで驚いた出来事のひとつだった。ウツのファンがたくさんいる理由が少しわかった気がする(笑)。
木根さんは今回は影が薄かった(笑)。でもTMの中ではやはりこういう役柄が一番似合っているのも木根さんならでは。コーラスは相変わらず絶品で、TMに不可欠な存在であることを思い知らされた。
そして先生。今回のライブでは終始キーボードプレイに徹してくれた。やはり先生はTMでキーボード弾いている姿が一番似合っているし、カッコイイ。そして相変わらず一言も喋らなかった(笑)。あの華奢な身体のどこからあんな力強いキーボードプレイができるのか、いつも不思議でしょうがない(笑)。
ともかくこの日、TM NETWORKは完全に復活した。と言うよりは新しい1歩を踏み出したと言うべきだろう。
今度会えるのは来年。それまで「Message」を聴きながらゆっくり待つことにしよう。
2004.9.11 youhei


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