稲葉浩志
LIVE 2010 〜enU〜 at 日本武道館(2010/9/30)
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前回のenから早6年。稲葉浩志2度目のソロツアーです。会場はお馴染み日本武道館。
武道館には数え切れないほど来ているが、B'zと稲葉さんだけはまだ見たことがなかった(まっちゃんはTMGとTMで観たけど)。
雨の中、稲葉さん休暇を取得した僕は開演2時間前に九段下に到着。グッズのレザーストラップとレザーブレスレットを購入。ちなみに僕はenのストラップを未だにつけてたけど、これでようやくお役御免。これからenVまで、今回のenUストラップをつけ続けます。
ガチャガチャも4回ほどやったけど、かぶったものはひとつもなかった。ラッキー。合流したマイミクさんにアンブレラカバーを差し上げて、かわりにトートバッグをもらった。今回のガチャガチャは実用的なものばかりGETできたので、早速日常生活の中で使わせてもらってます。
チケットを引き換え場内へ。今回の座席は2階南西スタンドB列。特にここ最近はこの辺の座席に縁があるようで。今年のMUSE、サッズも同じような席だった。2階スタンドの南側はステージも見やすくて好き。
会場に入ると、宇宙船のような巨大なセットにまず驚く。両脇にはスクリーンがあったが、それも小さく見えてしまうほどだった。
開演予定の19時を3分ほど過ぎた頃、SEが大きくなり、場内が暗転する。ほぼ開演時刻どおりに始まったのなんて、B'z関連のライブではあまり記憶にない。
そして流れてきたイントロでまた驚く。なんとenUのオープニングナンバーはまさかのTamayura。これはもう1%も予想できなかった。まだ宇宙船のようなセットがステージに覆いかぶさったままの状態で、色とりどりの照明が内側から照らし出される。それはまるで何かの生物が孵化する直前の卵のようにも見えた。
そしてAメロを歌いだすと同時にスクリーンに稲葉さんの顔が映し出され、卵のような宇宙船のようなセットがゆーっくりと上にあがっていく。ステージ上のメンバーが少しずつ見えてくる。もちろん場内は大歓声。
この日の稲葉さんの衣装はボーダー柄のインナーの上に黒っぽいジャケット。MAGICのゴールドスーツに比べたらそりゃ地味かもしれないが、相変わらず大人の色気を感じさせたし、今回のライブを表現していくにはピッタリの衣装だったように思う。
Tamayuraでは終始マイクスタンドを手に力強く、振り絞るように歌い上げる稲葉さん。演奏が終わるとヨギのエレキギターが鳴り響き、オーディエンスもそれにあわせてクラップ。2曲目はマイミライだった。これはイントロのリズムがとりづらいから拍手もズレまくってたけど、稲葉さんが歌い始め、バンドの音が鳴り響くとまたもや大盛り上がり。稲葉さんはマイクスタンドからマイクを抜き、早くもステージの端まで歩きながら歌う。「STOP」で演奏を一時止め、観客をあおる稲葉さん。この曲がライブでここまで盛り上がるとは思わなかった。
そして今回のライブはスクリーンも凝ってて凄かった。計6枚のスクリーンが曲によって動きまわって、また曲によっては一枚のスクリーンになったりする。この辺は追々レポにも書いていくことにする。
続いては待ってましたThe Morning Call。稲葉さん本人も自画自賛していたけど、この曲のピアノのイントロは素晴らしいですね。もちろん今回ライブで初めて聴いたけど、自分の心臓の鼓動が高鳴っていくのがはっきりとわかるくらい興奮した。しかもイントロでは「こんばんはトウキョーー!!」と叫ぶもんだから大変。これはぜひ今後のソロツアーでも定番曲にしてもらいたい。稲葉さんは時折カメラ目線で歌い上げるため、都度女性ファンからは悲鳴が(笑)。最後のサビ前では演奏が止まり、耳に手を当てて観客を煽る稲葉さん。盛り上がらないわけがない。
曲が終わると稲葉さんが珍しくフライングVを手にしてMCへ。
稲葉「改めましてこんばんはー。」
観客「(歓声)」
稲葉「みんな元気でしたかーー!」
観客「(歓声)」
稲葉「えー、久しぶりのソロツアーということで、今日は心を込めて、力いっぱい、歌わせてもらいますので、みんなも最後までゆっくり楽しんで行ってください。よろしく!」
観客「(歓声)」
シェーンのカウントとともにOkayへ。最初のMCの後にこの曲。すごくいい流れ。この時点で今日のライブが良いものになる予感がする。続いてエデン、AKATSUKIとアッパーな曲を連発。AKATSUKI含め、この日はシングル曲は全部やってくれた。そしてこのシングル曲たちがまたライブにおいていいアクセントの役割を果たしていたのもまた見事だった。「お日さまのように」の「ま」がオリジナルとは違って音が上がっていたのがスキ。赤と白のチカチカした照明もとても曲に合っていた。
曲が終わるとこの日2度目のMCへ。
稲葉「えー、あいにくの雨ですが、足を運んでくれてありがとうございます。」
観客「(歓声)」
稲葉「今日も雨、一昨日も雨、ライブがなかった昨日は・・・晴れ。ついでに言うとひとつ前の仙台も・・・雨。」
観客「(笑)」
稲葉「でも今日は、雨の中でも来てよかったなと思ってもらえるように、心を込めて歌うので、皆さん最後まで楽しんでいってください。」
観客「(笑)」
稲葉「えー、秋が近づいていますが、まだ暑い8月にHadouというアルバムをリリースしました。ここにいる皆さんも聴いていただけましたでしょうか。まだの方はですね、ぜひ聴いていただきたいと思うんですけども、このアルバムは、リリースは夏でしたが、レコーディングしてたのは去年のこのくらいの時期、夏の終わりから秋にかけてでした。ソロはこのくらいの時期にやることが多くなりますんで。あのー、そういう意味でも今の時期に合ったアルバムだと思ってます。」
観客「(歓声)」
稲葉「次にやる曲は、Hadouからではないのですが、夏が終わっちゃう、あ〜・・・っていった今からの時期に合った曲だと思います。では聴いてください。」
珍しい稲葉さんの「1,2,3,4」というカウントで始まったのは波。シェーンのスネアの音色だけで武道館にいたファンのほとんどは何の曲かわかったに違いない。稲葉さんはアコギを弾いていた。六枚のスクリーンにそれぞれ夕日と地平線が映し出される。めちゃ綺麗。思えば前回のenツアーでは後半から波がカットされて水平線になったんですよね。僕が行ったときは波だったけど。逆に水平線も聴きたかったなーなんてないものねだり。
間奏の「まばたきほどの時に沈む 人を幸せにできる鍵があるという」の部分では1つにつながったスクリーンの左右に稲葉さんがうっすらと映し出されてこれまためちゃくちゃ幻想的で綺麗だった。
波に続いては個人的にはこの日最初のハイライト。もう何度聴いたかわからないくらい大好きなLOVE LETTERが始まった。志庵の中でも一番好きな曲だけど、前回のenでは演奏されなかったから、イントロが流れてきた瞬間、感動の声を抑えるのに必死だった。このホームページのBGMももう何年もこの曲だし。
6つのスクリーンには懐中時計が映し出され、それがいつしか砂時計に変わる。サビの「叩きつける」の部分で砂時計が破壊される。そしてラストは砂で描かれた「i thank you」の文字が浮かび上がる。ラストのアコギのアウトロはジョシュが担当。演奏が終わるとファンから「サンキュー!」と叫び声があがった。僕も心の中で同じ言葉を叫んだ。
しかしサプライズはこれだけでは終わらなかった。演奏後、薄暗いステージ上に椅子がセットされ、そこに座る稲葉さんが見える。頭を垂れたまま始まったのはなんと透明人間。
この日一番の、いや、個人的には稲ソロ史上最大のサプライズだった。Peace of Mindの中でも、さらに言うと稲ソロの全ての楽曲の中でもおそらく一番好きな曲。ライブで聴ける日が来るとは思ってもいなかった。
ゆっくりと椅子ごと稲葉さんが上にあがっていく。スクリーンには白い少年のシルエット。そして行き交う人々が見える。歌詞の通り、誰も少年を気に留める者はいない。波のない海。
宙に浮く椅子という演出、そしてその椅子に1人ぼっちで座ったまま歌う稲葉さんは、見事にこの楽曲中の少年の孤独感と絶望感を表現していた。「天井に手を伸ばす」の部分では上を見上げて手を伸ばす稲葉さん。さらに後半に差し掛かると立ち上がって「おかあさん」という魂の叫び。そして「いつか僕の思い通りになれ」と叫んだ後、再び頭を垂れて椅子に座り込む稲葉さん。そのままアウトロのピアノにあわせてゆっくりと椅子が降りていく。アウトロのピアノはオリジナルの2倍長かった。
楽曲の持つ魅力をいかにライブで表現するか、ということは、観ている側としては最も興味深い部分であるが、この透明人間はそういう意味でも楽曲の魅力を100%以上引き出した、まさに至高のパフォーマンスだった。
演奏が終わると稲葉さんは一度ステージから姿を消す。するとジョシュがギターを弾き始めた。そのままギターソロが続き、しばらくすると稲葉さんはエンジ色のVネックシャツで登場。
そして演奏されたのは赤い糸。武道館の中を赤いレーザー光線がゆっくりと動く。いつかの吉井武道館でも同じような演出があったな・・・シュレッダーだったっけ。懐かしい・・・なんてことを思いながら聴き入っていた。
今度は稲葉さんがブルースハープを吹き、ヨギのギターとのかけあいが始まる。あれ、ブルースハープ使うソロ曲って何があったっけ??と考えたが出てこない。するとLone Pineが始まった。んーー嬉しい。大好き。この曲はHadouの中でも3本の指に入るほど好き。Lone Pineの映像もバッチリ映し出されてて最高。Cメロからラストのサビへの展開は涙モノだった。
続いてはこの手をとって走り出して。アコギのイントロから切ないムードが漂う。マイクスタンドを使い、真正面を見据えて歌い上げる稲葉さん。続いてLOSTへ突入という意外な展開。スクリーンには砂漠と、ところどころにアンティークが無造作に置いてあるような感じの映像(だったような気がする)。
演奏が終わってもスクリーンの映像は続いていて、扉が開いて、そのまま絶対(的)に行くのかと思いきや、なんと始まったのはWonderland。ああ、そう来るかこのやろーって感じで(笑)。「だから行ってみよう」って、「Wonderlandへ行こう」ってことだったのかと勝手に解釈。いい意味で期待を裏切られた。ここでもマイクスタンド使ってたけど、ときどき少し荒々しく斜めに持ったりして。この曲聴くと2004年のサマソニを思い出す。待ち時間のときにひたすらかかってたから。
続いては小野塚さんのピアノソロ。さすが上手。めっちゃ上手。そんなこんなで聴き入ってたらいつの間にか遠くまでが始まった。1番はピアノ伴奏のみで、スクリーンには宇宙の映像が流れる。2番からはオリジナルとほぼ同じ入り方でバンド演奏となり、クライマックスになるにつれて少しずつ宇宙の映像のスクロールが速くなっていく。ラストはアカペラではなく、バンド演奏に乗せて「遠くまでーーーーーーーーーーー」と相変わらずの物凄い伸びのあるシャウトで終了。
そして稲葉さんはステージから去り、サポートメンバーでのセッションが始まった。ちゃんとそれぞれのソロがあり、やっぱりシェーンのドラムソロが一番盛り上がってたように思う。
その後稲葉さんはなんとピンクのシャツで登場。ここまでピンクが似合う46歳が他にいるだろうか。そしてメンバーを紹介。小野塚さんは物凄く滑舌が良く、放送部長だったとのこと。外国人メンバーも1人ずつ日本語でMC。シェーンはやっぱり上手だったけど、「お越しあただき・・・」と噛んでしまう場面も。でもみんな上手だった。中でもジョシュは「光栄」という日本語まで使いこなして。19歳ということを稲葉さんが紹介すると武道館はどよめいていた。お肌がツルツルになるらしい(笑)。
しかし19歳で稲葉さんと一緒にステージに立てるなんて幸せ者だなー。対するまっちゃんは62歳のラリーさんと一緒にステージに立ってるのもなんだかソロならではで面白い。
メンバー紹介後はジョシュがスライドバーを使ってギターを弾く姿がスクリーンに映し出される。そして稲葉さんが改めてジョシュを紹介しCAGE FIGHTへ突入。後半クライマックスのスタートという感じで、前回のenでのO.NO.REのような位置づけ。そりゃ盛り上がらないわけがない。さらに今宵キミトへ畳み掛ける。この曲はレッチリのBy the wayがなかったらきっとできていなかったんだろうなといつも思う。オマージュってやつだよね。イエローモンキーのJAMもオアシスのDon't look back in angerのオマージュとして出来た曲だって吉井さんが言ってたけど。やっぱり名曲はいろんな形で後世に受け継がれていくものなんだなって。
この曲ではマラカス持ってて、途中でステージ下に放り投げてたけど、LIVE-GYM同様スタッフがしっかりキャッチしてた(笑)。
そして待ってました絶対(的)。イントロでは「オイ!オイ!」というかけあいで、なんだか洋楽ロックな雰囲気で始まる。でもこのイントロのマリンバ系の音が、思いっきり音程ずれてたように思えるのは僕だけでしょうか。これはDVDでしっかり確認しておきたいなー。とりあえず今回の座席が通路側ってこともあって、この辺、とくにラストのコーラスなんかはもう死ぬほど歌いまくった。
これで終わりか、もしくはもう1曲やってくれるか、と期待していたら、コーリーが前へ出てきてあのイントロを弾き始める。同時に武道館は大歓声。そして稲葉さんが「もう1曲やるぞーーーーーーーーーーー!!」と叫び、正面衝突へ。
完璧。
文句のつけどころのない本編クライマックス。間奏では「あ〜あ〜」とみんなで手をゆらゆら。凄い光景(笑)。この曲もライブではサマソニでしか聴いたことなかったから最高に嬉しかった。しかしいつも思うけど、こんだけ歌っておいて喉もつらくなってるはずなのに、最後の最後で正面衝突みたいな、SUPER LOVE SONG級の高キー曲を持ってきて、それをいとも簡単に歌いこなしてしまう稲葉さんを観ると、プロフェッショナルだなぁと心底感心してしまう。
イントロとアウトロでは物凄い数の火柱が何度も上がって本編終了。2階席でも炎の熱さを感じた。
水分補給し、気持ちを落ち着かせて、ウェーブにも参加しつつ、5分ほど経った頃アンコール。
ステージ上にメンバーが姿を現す。一番最後に出てきた稲葉さんはグリーンのツアーTシャツを着ていた。
そしてこのアンコールで大きなサプライズが起こる。
稲葉「こういうことは滅多にないんですけど、今日は友達が遊びに来てるんで、せっかくだから一緒に演奏したいと思います。」
武道館が物凄いどよめきに包まれた後、一瞬の静寂。
稲葉「スティービーサラス!!」
これは全くの予想外。まさかサラスを稲葉さんのライブで観れることになるとは。もともとサラスはフジロックに来てて、本当は観るつもりだったんだけど、朝一のライブだったので寝坊してしまい観れなかったんだよね。サマソニのSLASHで稲葉さんが飛び入りしたかと思えば、今度は稲葉さんのソロでサラスが飛び入り。ソロならではの、ファンにとってはありがたいサプライズとなった。
そしてこの人が登場となれば、やる曲はあの曲しかない。ダークブルーのギブソンを弾く姿がスクリーンに映し出され、始まったのはもちろんハズムセカイ。なんともいえないピースフル感が武道館を包み込む。透明人間が闇ならはハズムセカイはまさに光。こういった陰と陽の部分をしっかり自分流に表現してくれるからこそ、稲葉浩志というアーティストに惚れこんでしまう。
目立ちすぎては他のサポメンに悪いと思ったのか、サラス氏、ギターソロはジョシュに譲ってた(笑)。「このまま朝が来るまで」の後には演奏が一瞬止まり、スクリーンに稲葉さんがアップで映し出される。「武道館の皆さん、あとちょっとだけ・・・一緒にいてよ〜」と歌い上げてもうお祭りのような大歓声。感動!
曲が終わり、大歓声の中サラスが退場する。
稲葉「えー、こういうことは滅多にないんですけど・・・楽しいですね!」
観客「(歓声)」
稲葉「今日は皆さんのHadouを一杯いただきました。ほんとにどうもありがとーーう!」
観客「(歓声)」
アンコールラストはもうこの曲しかない。イタイケな太陽。シェーンのドラムにあわせて観客はクラップ。武道館の客電が一斉にパァーーーっと点灯する。この演出もやっぱり吉井さんのFINAL COUNTDOWNを思い出す。他のライブでも結構お馴染みな演出だけど、やっぱり何度体験しても気分が高揚する。イントロの盛り上がりを最後まで引っ張ったまま、ライブは幕を閉じる。
メンバーそろって一礼した後、サポメンはピックやらスティックやらバンバンアリーナ席に投げ入れてた。その後稲葉さんが1人になり、左右の端の方まで行き、ファンに挨拶をする。SEにはHadouのシークレットトラックである「手をふろう(仮)」が流れていた。サビでは武道館みんなで自分に手を振っていた。スクリーンには子供のような無邪気な笑顔の稲葉さんが映し出される。本当に嬉しそうだった。
稲葉「また会いましょう、バイバイ!」
こうして6年ぶりのenUは終了。SEに新曲が流れる中、武道館を後にした。
6年前のenをはるかに凌駕し、稲葉浩志という1人のアーティストが描く世界をこれでもかと堪能した、これ以上ないほど密度の濃いステージだった。できることなら、翌日も参加したかった。心からそう思うほど、素晴らしく幸せな120分だった。
稲葉浩志
LIVE 2010 〜enU〜 at 日本武道館(2010/9/30)
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- Tamayura
- マイミライ
- The Morning Call
- Okay
- エデン
- AKATSUKI
- 波
- LOVE LETTER
- 透明人間
- 赤い糸
- Lone Pine
- この手をとって走り出して
- LOST
- Wonderland
- 遠くまで
- CAGE FIGHT
- 今宵キミト
- 絶対(的)
- 正面衝突
Encore.
- ハズムセカイ
- イタイケな太陽
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