B'z & Aerosmith
2002 FIFA WORLD CUP KOREA/JAPAN OFFICIAL CONCERT at 東京スタジアム(2002/6/27)

-はじめにー

もう1つのワールドカップ。私にとってこのイベントはまさにそういった意味合いがありました。
決勝トーナメント1回戦でのまさかの日本敗退。そして連日取りざたされる審判問題。私の心の中にはどうしても何かもやもやしたものが残っていました。そして5月31日から始まったワールドカップも気が付けば残る試合は3位決定戦と決勝戦のみ。もうすぐこのビッグイベントも終幕を迎えようとしていました。梅雨ということもあり、確実に私の心は沈んでいました(笑)。しかし、そんな私の心のモヤモヤや寂しさは、今日のこのライブが全て消し去ってくれました。17時に始まり、終わったのは22時15分頃。およそ5時間という長時間にも関わらず、最初から最後まで、一秒たりとも気を逃さずライブに集中できたのは、出演アーティストと、そしてそれに応えたオーディエンスのエネルギーのたまものに他なりません。最後の最後でB'zとAEROSMITHが共演したあの瞬間の会場の雰囲気は、正直これまでに味わったことのないモノでした。思わず全身が震えました。このようなイベントに参加できたことを本当に光栄に思います。
この日のことを出来る限り自分の記憶に残しておきたく、また、これを読んだ人に当日の会場の熱狂ぶりが少しでも伝わればと思い、レポートを書きました。ただ、断っておきますが、すさまじく長いレポートになってます(笑)。ご勘弁ください。それでは、ライブレポートをお楽しみください。



東京スタジアムに来るのは昨年のJ1開幕戦、東京ヴェルディ1969vsFC東京の「東京ダービー」を観戦に来て以来、2度目だった。平日で仕事だったが私はもちろん午後半休を取得(笑)。寒かったので長袖のシャツを着ていくことにしたが、下にはしっかりと99年Brotherhoodツアー時のRespectTシャツを着て自宅を出た。

新宿から京王線に乗り換えて最寄駅である飛田給駅へ(既にこの電車の中はライブに行く人達で埋め尽くされていた)。そして東京スタジアムに着いたときは午後16時30分を回っていた。それほど強くはないが雨がしたたり落ちている。私は待ち合わせた友人と共にスタジアムの入り口へと足を運んだ。

私の席はアリーナF-10ブロック。東京スタジアムは天然芝を張っているため、アリーナ席の人に限っては水以外の飲食物の持ち込みは禁止されていた(幸い私は某掲示板で情報を得ていたため、ミネラルウォーターのみ買ったいったのですが、知らずに菓子や飲み物を買い込んでいた人は入り口手前で全て飲み食い尽くさなければならなくて、ちょっと気の毒でした)。

ぐるりとスタジアムを半周ほど歩き、ようやくアリーナ席の入り口へ到着。既に開演時間の17時を少し過ぎていた。入り口でプログラムとポンチョを受け取り、ゲートをくぐって場内へと向かう(今回のライブではプログラムとポンチョが無料で配られました)。
まず初めに目に飛び込んできたのは真っ白な雪のような光景。ほとんどの人が今回配られた真っ白いポンチョを着ていたため、まさに一面雪が降り積もっているかのようだった。そしてステージを観るとさらに意外な光景が。なんとウィーン・オペレッタ管弦楽団によるクラシックコンサートが始まっていたのである。しかも指揮者が時折観客に対して手拍子をあおっているではないか。クラシックコンサートで手拍子なんて聞いたことないぞ(笑)。でもおかげで観客もノリノリで演奏を楽しんでいました。この指揮者さん、エンターテイメントというものをわかってます。さすがだなと思いましたね。そして手拍子に乗りながら演奏をする楽団の方の表情がスクリーンに映し出されたのですが、とても嬉しそうな笑顔で演奏していたのが印象的でした。

そんな演奏を聴きながら私は自分の座席を探す。そしてようやく席にたどりついて回りを見渡すと自分の位置がよくわかった。まさにスタジアムのど真ん中、ちょうどサッカーで言うところのセンターサークル付近だったのである。また、ステージがまさに自分達の真正面だったため思わず友人と嬉しい悲鳴をあげてしまったのを覚えている(笑)。

今回のステージ構成は中央に大きなスクリーン。そしてステージ両脇にはそれよりも一回り小さいスクリーンが一台ずつ設置されており、至ってシンプルな構成となっていた。しかしステージ両端にスポンサーの看板がズラリと並んでいるのを観た時は「あーやっぱこの辺はワールドカップだなぁ」と思いましたね(笑)。

17時30分頃だっただろうか、クラシックコンサートは終了。おそらく会場のほとんどの人はクラシックコンサートを生で味わえるなどと思っていなかったのだろう(自分含む)。思わず拍手と歓声が湧き上がった。
そんな拍手と歓声に包まれ、楽団は退場。それから10分ほどしたころだろうか。今度は和太鼓の音が鳴り響いてきた。よく観るとステージに人影が見える。さらによく観ると・・・フンドシ一丁のおっちゃんが太鼓を叩いているではないか(笑)!しばらくすると今度は10数名もの人が同時に太鼓を叩きだした。彼らは「鼓童」というアーティスト。1988年から現在に至るまで16枚ものアルバムをリリースしており、海外でも幅広い活動をしている猛者だと知ったのは、ライブ終了後、家に帰ってプログラムを見たときだった(笑)。太鼓だけでここまでできるのか、と思わずうなってしまうほどの素晴らしいパフォーマンス。この後登場するB'zとAEROSMITHの前座だと思っていたのですが、とんでもない。彼らもB'zやAEROSMITHと肩を並べるほどの素晴らしいアーティストだということがわかりました。彼らの演奏がなかったら、この後の盛り上がりもまた違っていたことでしょう。

そして18時を過ぎた頃、鼓童の演奏が終了。場内は拍手と歓声に包まれる。そしてステージから和太鼓のセットが取り除かれ、代わりにドラムセット、そしてキーボードやマイクスタンドなどの準備がされると、場内は「いよいよ」という雰囲気に包まれてくる。そしていつしかスタンドではウェーブが起こっていた。その瞬間が近づきつつあると思うと、否応なしに私の気分は高まっていった。

鼓童の演奏が終わってから20分ほど経った頃だろうか。突然、スクリーンに見覚えのあるライブ映像が映し出された。同時に場内は総立ちになり、物凄い歓声があがる。流れてきた映像は「once upon a time in 横浜」のビデオだった。ギリギリchopからBAD COMMUNICATIONまで、一曲一曲が10秒ほどずつ流れたのである。観客は各々歓声をあげたり歌ったりしており、既にライブが始まったかのような雰囲気だった。そしてライブ映像が終わった後、今度はスクリーンに2人のインタビューが映し出された。無論場内は凄まじい大歓声。このときのコメントの内容ははっきりとは覚えていないが、次のようなものだった。

「このようなライブに参加できて光栄に思います。B'zを知らない人達にも、僕らを知ってもらえるいい機会だと思いますので、ぜひ、B'zを知っている人にも、知らない人にも、楽しんでもらえるような、最高のライブができればいいと思います。」

そしてインタビューが終わると、今度は何と「熱き鼓動の果て」のプロモーションビデオが流れ出した。音も大音量で場内に流れていたため、思わず観客もみんな一緒に口ずさんでいた。もちろん私はフルで観るのは初めてだったので、嬉しくて最初から最後まで思いっきり歌ってました(笑)。
「モウスグデ、アナタニアエル・・・モウスグデ、アナタニアエル・・・」
私にとって昨年の西武ドーム以来、約1年ぶりの彼らとの再会は、もうすぐそこまで迫っていた。

しばらくするとステージにかすかな照明が灯り、ファンファーレのようなオーケストラのBGMが流れ出した。そして場内が歓声に包まれる中、ついにB'zがステージ上に姿をあらわした。2人はこれまでのLIVE-GYMとは違い、サポートメンバーとともに、ステージ脇からゆっくりと歩いて登場。稲葉が拳を突き上げる姿がスクリーンに映し出されるとそれに応えるかのように場内は大歓声。その大歓声に包まれながらそれぞれのメンバーが楽器を手にする。そしてまっちゃんがギターを手にした姿がスクリーンに映し出されるとまたまた場内は大歓声に包まれる。

今回のライブで私が全く予想できないことが1つあった。それは1曲目に演奏される曲である。私は「熱き鼓動の果て」ではないかと思っていたのだが、直前にプロモーションビデオが流れたので1曲目に持ってくる可能性は少ない。となると一体何だ?横浜のときと同じくギリギリchop?それともultra soulか?そんなことを考えていた次の瞬間、まっちゃんの強烈なギターサウンドが場内に響き渡った。

そう、1曲目はなんとjuiceだった。「おいおいおいおいおい!いきなりjuiceかよ!!」と嬉しい悲鳴をあげたのは言うまでもない(笑)。この曲は何と言っても、最初スローテンポから「いくぞ、いくぞー」と思わせておいて一気に爆発するようなイントロが大好きなんです。私は終始タテノリでピョンピョン飛び跳ねてました。私の後ろにいた若い男性が「やっべぇー、チョーかっこいい」と言っていたのを聞いて、私は「だろ?」と心の中で返しました(笑)。

演奏が終わっても歓声は鳴り止まない。そんな中、次に聴こえてきたのはDEVILだった(イントロがTOKYO DEVILだったので一瞬TOKYO DEVILかと思いましたがやはりDEVILでした)。余談だが私はTOKYO DEVILよりはこのDEVILの方が全然好きです(笑)。

演奏が終わり、ステージが暗くなる。そしてしばらくするとステージが明るくなり、お待ちかねのMCへ。マイク片手に稲葉がステージ上をウロウロしながらなにやらブツブツと喋りだした。

稲葉「今日は・・・・・今日は・・・・・・・・・」

喋りながらずっとステージ上をウロウロしていたので観客席からも思わず笑いがこぼれる。

稲葉「今日は・・・・・・・今日は・・・・・・・・・アァ〜(笑)」
観客「(笑&歓声)」
稲葉「今日は・・・・・・B'zだけの・・・・・・B'zだけの・・・・・・・・・(突然大声で)今日はB'zだけのライブじゃないけどやっぱりB'zのライヴジムにようこそーーーーーーー!!!!」
観客「(大歓声)」

お決まりのこのセリフは言ってくれるとは思っていたが、まさかこんな形で聞けるとは思わなかったのでビビった(笑)。そして流れてきたイントロはなんとZERO。昨年の西武ドームでは演奏されなかっただけに久々に聴いたが、やはりこれを聴かないとライヴジムに来た気がしない、というのは大げさだろうか(笑)。間奏のラップ部分の前ではもはや御馴染み(?)となった稲葉の「ヘイ!ヘイ!」という掛け声も。そしてラストはやっぱりあったまっちゃんのドリルパフォーマンス。耳を劈くようなギター音が場内に響き渡る。

続いての曲はイントロを一瞬聴けば誰でもすぐわかるだろう。love me ,I love youだ。稲葉が観客に手拍子をあおる。その姿がスクリーンに映し出されると観客は一斉に手拍子。この曲も2000年のPleasureで演奏されて以来だから久しぶりだ。1番のAメロに「Oh,well,well,darlin'」というコーラスが入っていたのでシングルバージョンではなくアルバム「LOOSE」に収録されている「with G bass」バージョンだということがわかった。

演奏が終わると再びMCへ。

稲葉「こんばんは!」
観客「(歓声)」
稲葉「元気でしたか!!」
観客「(歓声)」
稲葉「えー、ここから見てると、皆さんが着ている、その・・・ポンチョっていうんですか」
観客「(笑)」
稲葉「ステージから観てると、それが、白くて、雪みたいで(笑)、とても綺麗です。」
観客「(笑&歓声)」
稲葉「(空を見上げて)えー、今日は、雨もチラついて、もう僕らにとってサイッコーの天気ですね。」
観客「(笑&歓声)」
稲葉「今日はみなさん思いっきり、えー、(指折り数えながら早口で)歌って、踊って、メチャクチャになって、びしょ濡れになって、そんでもって、えー・・・・・・・楽しんでいってください!」
観客「(笑&歓声)」

続いては聞き覚えのない、しかし何とも心地よいギターサウンドのイントロが流れてきた。ニューアルバム「GREEN」からの新曲、Warpだった。ラヴソングっぽい歌詞だったので私はてっきり「ときメモ」のテーマソングである「SIGNAL」かなと勘違いしていた(笑)。

演奏が終わりステージが一旦暗くなる。しばらくするとステージが明るくなるとともに、アコースティックギターを持った稲葉がステージ上にいた。観客からは「一体何を演奏してくれるんだろう?」という期待感の入り混じった歓声があがる。それはまさに99年のBrotherhoodツアーで「Easy Come,Easy Go!」を演奏したときの光景に似ていた。

稲葉「えー・・・それでは・・・・・・ここでちょっとゆったりした、Blue Sunshineという曲を、聴いてください。」
観客「(歓声)」

とても心地よい、夏を思わせるサウンドが鳴り響いてきた。そしてこの後、ニューアルバム「GREEN」からGO★FIGHT★WIN、そしてSTAY GREENと続けて演奏された。私は新曲はほとんど聴いたことがなかったので期待していたのだが、いやはや期待を予想以上に上回るいい曲ばかりだった。「GO★FIGHT★WIN」では稲葉の掛け声とともに「Go!Go!Go!Go!」というフレーズがあったのだが、ここらへんはちゃんとアルバムを聴いて曲を覚えてからライブに参加すれば相当な盛り上がりになるだろう。アルバムが本当に楽しみだ。そして8月の横浜までにしっかり覚えていこう、と私は心に誓ったのでした(笑)。

STAY GREENが終わるとステージが明るくなり、MCへ。

稲葉「えー、じゃあここでちょっと、みんなで歌でも歌いましょうか。」
観客「(歓声)」
稲葉「(歌う)メロディは・・・・・・・♪ウォ〜〜ウ〜オ〜〜ウ〜オ〜ウオ〜〜オォ〜」

その見事の歌声に客席からは思わずため息の入り混じった大歓声があがる。そう、Callingだった。

稲葉「じゃあここ(アリーナ左端)からこっち(スタンド)の人ね。こっちだと思う人は歌ってください。(ちょうど境界線のあたりの人達を指差し)あのー、自分がこっちに入っているかどうかは、もうみんな大きいんだから自分で判断してください。」
観客「(爆笑)」
稲葉「じゃあいくよ!・・・せぇーーーーの!」
観客「♪ウォ〜〜ウ〜オ〜〜ウ〜オ〜ウオ〜〜オォ〜」

場内にこだまする綺麗な歌声に思わず他の観客から拍手と歓声があがる。

稲葉「あ〜キモチ良かった。」
観客「(笑)」
稲葉「じゃ次、真ん中ね!」
観客「(歓声)」
稲葉「せーーーの!」
観客「♪ウォ〜〜ウ〜オ〜〜ウ〜オ〜ウオ〜〜オォ〜」

このとき稲葉は「もっと大きい声を聴かせてくれ」と言わんばかりに耳に手を当てて観客をあおるような仕草を見せていた。

稲葉「ナイス!」
観客「(笑)」
稲葉「じゃあ最後、こっち!」
観客「(歓声)」
稲葉「メロディはわかってるね?(早口で)ウオウオウオウオウオーだよ。」
観客「(笑)」
稲葉「せーーーの!」
観客「♪ウォ〜〜ウ〜オ〜〜ウ〜オ〜ウオ〜〜オォ〜」

その観客の声を飲み込むかのように、スゥーっと呼吸を吸い込む稲葉がスクリーンに映し出される。茶目っ気たっぷりのその仕草に客席からも笑いがこぼれる。

稲葉「キレイ!」
観客「(歓声)」
稲葉「じゃあ最後に、この会場全員の歌声を聴かせてください!せぇーーーーの!!」
観客「♪ウォ〜〜ウ〜オ〜〜ウ〜オ〜ウオ〜〜オォ〜」
稲葉「AH---Yeah---!!」
観客「(歓声)」

ちょうどBrotherhoodツアーの再現を見ているかのような演出だった。サビではもちろん観客全員でコーラスを歌いあげる。また、この日初めてのバラード(?)ということもあり、イントロとエンディング以外は観客は皆稲葉の歌声に聴き入っていた。私は声出して一緒に歌っていましたけど(笑)。エンディングはハードなアレンジが施されており、稲葉の連続シャウトはまさに圧巻だった。

演奏が終わってしばらくするといつしかステージには椅子が用意されていた。そして稲葉のMCへ。

稲葉「えー、ちょっと、椅子に座っていいですか?いや、別に立ちっぱなしで疲れているわけじゃないよ。演出だから(笑)。」
観客「(笑)」
稲葉「あの、今回、ワールドカップがなければ、こういう機会はなかったですし、そういった意味で、色々な関係者、スタッフ、そして、日本代表の選手達」
観客「(拍手)」
稲葉「あれだけの感動と興奮を与えてくれた、日本代表の選手達にも、心から感謝したいと思います。」
観客「(拍手&歓声)」
稲葉「そんな日本の選手のみなさんに、この曲を贈ります。あの、歌える人は、みんな一緒に歌ってください。」

まっちゃんのアコースティックギターに合わせて稲葉が歌いだす。同時に会場からは歓声が沸きあがる。熱き鼓動の果てだ。出だしの「Ahーー、何が待っているんだろう」という部分は稲葉が客席にマイクを向け、観客全員で歌う。私はもちろんこの日一番の声を張り上げて歌いました。また、1コーラス歌い終わり、まっちゃんがアコギからエレキギターにチェンジする際、CD音源だと時間が短かったのだろう。そこの部分は長めのアレンジが施されており、それにあわせて稲葉が「ヘイ!ヘイ!」と叫んでいた。
しかしこの曲を聴くとほんと、ワールドカップを思い出しますね。聴いている間、日本代表選手の顔が次々と浮かんできました。

ラストの「モウスグデアナタニアエル」の部分はCD音源とは違ったハードなアレンジがなされていた。そして演奏が終わり、場内が歓声に包まれたかと思うと、稲葉が再びマイクを手に取り、メンバー紹介が始まった。

稲葉「えー、それではここで、後ろのバンドのメンバーに紹介します!」
観客「(歓声)」
稲葉「キーボード!増田隆宣!」
観客「(歓声)」

増田さんが両手を上げて笑顔で歓声に応える。LIVE-GYMでは御馴染みなだけに歓声も大きかった。また、今回のメンバー紹介ではバックの演奏もキーボードソロもなかった。

稲葉「ベース!」

稲葉がそう言っただけで場内からはどよめきにも似た歓声が起こる。

稲葉「ベース!ビリー・シーン!」
観客「(歓声)」

さきほどの増田さんを上回る歓声が沸きあがった。手をあげて歓声に応えるビリー。ご存知MR.BIGのベーシストである。まさに最強のサポートメンバーと言えるだろう。

稲葉「ドラムス!シェーン・ガラース!」
観客「(歓声)」

キーボードとベースのソロはなかったのだが、ここでシェーンのドラムソロが始まった。しばらくするとリズムが三三七拍子になり、観客に手拍子をあおるシェーン。観客もドラムに合わせて三三七拍子で手を叩く。
多分この人は以前メタルとかやってたんじゃないでしょうか。キックも2バス使ってたし、メタルっぽい叩き方してました。

そしてドラムソロが終わると今度はまっちゃんがギターソロを弾き始めた。そして気づいたらなんとFIREBALLが始まった。私はライブでこの曲を聴くのは初めてだったせいか、最初Aメロ聴いたとき「あれ?この曲何だっけ?」と考えてしまった(笑)。ラストは稲葉のボーカルソロ「そして自分のもとぉぉぉ・・・えぇえぃ〜〜」の、この「えぇえい〜〜」の部分を(笑)何度も何度も繰り返し歌い、いつしかそれはシャウトに変わっていく。そして観客にもシャウトを求める稲葉、それに応える観客。興奮しましたね。

続いては聞き覚えのあるピコピコしたシーケンス音が鳴り響く。Liar!Liar!だ。アレンジはほとんどオリジナルに近かったと思う。この時点で私はもう声がガラガラでほとんど出ない状態になってしまっていたが、続いてはなんとさまよえる蒼い弾丸へ。後でセットリストを見てもらえればわかると思うが、今回のライブではいわゆるバラードと呼べる曲が1曲もない、とんでもないステージとなった。しかし「さま弾」はいつ聴いても最高に盛り上がる。今後もLIVE-GYMには欠かせない曲となるだろう。

さま弾が終わると今度はビリーがベースソロを弾き始めた。しかしこれがまたとんでもないベースソロで。あんなベース聴いたことなかったです。ピック使わずに、指だけであんな凄まじいベースを弾けるなんて・・・。ため息を通り越して笑っちゃいましたよ(笑)。
ビリーのベースソロと言えば、私はいつもアルバム「Brotherhood」に収録されている「ギリギリchop version.51」を思い出す。だからこのベースソロが流れてきたときは、私は「次は絶対ギリギリchopだ。絶対そうだ。来い。来い!頼む、ギリギリchop来てくれーー!!」と(笑)、心の中で願い叫んでいたまさにその時、シェーンのカウントとともにギリギリchopが始まった。私は嬉しすぎて思わず「うおおぉぉぉぉおええぇぃい!!」という意味不明な叫び声を上げてしまいました(笑)。私が今回のライブで最も興奮した一瞬でした。

今回のギリchoではタオルをグルグル回している人はさほど多くなかったように思う。しかし最後の最後で稲葉がTシャツを脱ぎ、そのTシャツをグルグル回し始めるとあちこちでタオルを回す人が急増していた(笑)。そしてラストでは演奏が終わる前に稲葉が何度も観客に叫びかける。

稲葉「まだ行けるかーーーーーい!?」
観客「(歓声)」
稲葉「まだ行けるかァァーーーーーーーい!!?」
観客「(歓声)」
稲葉「行くぞーーーー!!ウゥルトォラソーーーーーウル!!」
観客「(歓声)」

ヤバイくらいの盛り上がりの中、ついにultra soulへ。今ではもはやB'zの代名詞と言えるくらい有名な曲となった。観客全員が一体となって「ヘイ!」叫ぶ姿は一緒に参加していてとても気持ちいい。しかしこの曲はタダでは終わらなかった。最後の最後で「ウルトラソウル!(ヘイ!)」と言うところを稲葉は4回ほど繰り返して歌ってくれたのだ。想像してもらえればわかると思いますが、それはそれはもう凄まじい盛り上がり様でした。
演奏の終わりにはステージ脇から何発も花火があがる。今回、ライブが始まる前はかなりの雨が降っていたのだが、B'zのライブが始まると雨は小雨に変わり、さらにライブの途中からはすっかり雨は上がっていた。まさにライブの熱気が雨雲も吹き飛ばしたと言えるだろう。

稲葉「どうもありがとーう!」
観客「(歓声)」
稲葉「今日は最高でした!みんなのおかげで、雨もちっとも冷たくありませんでした!」
観客「(歓声)」

演奏が終わり、大歓声と拍手に包まれる中、メンバーが全員ステージの前に出てくる。そしてやっぱり最後はこの言葉でシメた。

稲葉「・・・せぇーーーーのっ!」
観客「(おつかれーーー!!)」

時計の針はちょうど20時を指していた。計15曲、およそ1時間30分に渡ったライブは幕を閉じた。

・・・しかしまだ半分終わっただけである。この後にまだエアロスミスが控えているなんて、なんて贅沢なことだろうか。ただ、幸いにもこの日は涼しく心地よい気候だったため、体力的にはまだ多少の余力が残っていたのが救いだった。私は席に座ってじっと体力の回復を待つ(そんな大げさなって思うかもしれませんが・笑)。そして熱狂的なエアロファンの人達が、「待ちきれん」と言わんばかりに「エイ!エイ!」と掛け声をあげはじめる。

そしてB'zのライブ終了からわずか5分後、突然スクリーンに映像が流れ出した。そこにはエアロスミスのメンバー全員が写っていた。それとともに場内からは大歓声があがる。
それはエアロスミスのインタビューだった。詳しくは覚えていないが、「FIFA!ワールドカップ!KOERA/JAPAN!さぁ、ロックンロールしようぜ!」といった、まさにアメリカのハードロックバンド的なノリのコメントで(笑)、でもそれがメチャクチャかっこいいんですよね。
さらにインタビューが終わった後、彼らがここ数年の間に出したシングル曲のプロモーションビデオが流れ始めた。「Girls Of Summer」、「Falling In Love」、「I Don't Want To Miss A Thing」などの映像が流れ出す。各曲の映像が流れるたびに客席からは歓声がこだまする。

映像が終わるとすぐにメンバーが登場するのかと思われたが、立って待っていてもメンバーが出てくる気配はなく、場内は普通に洋楽のBGMが流れている。立っていた人たちもポツポツと座り始めた。ちょっと肩透かしを食らったような感じだ(笑)。

しかしそれから数分後、突然ステージが明るくなり、エアロスミスのメンバーが姿を現した。熱狂的なファンから悲鳴のような歓声もあがっている。私はエアロをこの目で見るのは初めてだったのだが、彼らには他のバンドにはない、風格というか、ただならぬオーラみたいなのを感じましたね。あっという間にステージと会場がエアロの空気で染まっていきました。

そしてそのまま演奏が始まった。オープニングはBack In The Suddle。スティーブンは大き目のサングラスをかけたまま歌っていたが、とても人間とは思えないシャウトを連発。間違いなく私はこの日、超人を観た。凄い。その一言に尽きる。B'zの2人はステージの後ろからこのライブを観ていたそうだが、後に「本当に凄い。自分達はまだまだ未熟だなと感じた。」と語っていたように、私はこの日、エアロスミスというバンドはまさに世界級であることを体感することができた。それが一番の収穫だったように思う。

演奏が終わると今度はLove In An Elevatorへ。観客とともに掛け声をあげるためライブでは非常に盛り上がる曲だ。また、B'zの「MR.ROLLING THUNDER」に似ていることでB'zファンの間ではよく知られている曲かもしれない。演奏が終わるとスティーブンのMC。

タイラー「コンバンワトウキョーーーー!!」
観客「(歓声)」

・・・すいません、MCこれしかわかりませんでした(笑)。もちろん後は全部英語だったので・・・。
そして続いては一番新しいアルバムからのナンバーJust Push Play。サビの部分ではスクリーンに「Just Push」の文字とともに再生ボタンの記号が映し出されていた。

Just Push Playが終わると今度はスティーブンが「オーレーオレオレオレー」と、なんとサッカーの応援歌をアカペラで歌いだした。そして観客にも一緒に歌うようアピールする。無論観客も一体となってスティーブンと一緒に歌う。これにはさすがに私もビックリしました。

そしてJaded、さらにMama Kinへと続く。しかしここで驚いたのは、ギターのジョー・ペリーの歌が上手いこと上手いこと。ソロでも十分食っていけるような歌唱力の持ち主でした。そんな人がコーラスやってしまうのだから・・・。
また、この日スティーブンが左腕に「必勝」というペイントをしていたのですが、曲の前にそのペイントをこれ見よがしに見せ付けていたのが印象的でした。ちなみに右腕には「夏娘」、お腹には「最高」というペイントが書かれていました(笑)。

前述したようなシャウトもさることながら、彼らはバラードでも魅せてくれた。ライブ中盤で演奏されたI Don't Want To Miss A Thing(映画「アルマゲドン」テーマソング)では思わずジーンと聴き入ってしまった。

そしてアンコール。オープニングと同じく再び大きなサングラスをしたスティーブンが登場。演奏されたのはなんとTheme From Spiderman。ご存知大ヒット映画「スパイダーマン」のテーマソングだ。私は映画もまだ観ていないし、曲も聴いたことがなかったが、歌詞に「Spiderman」という部分”だけ”聞き取れたため「あっ、スパイダーマンだ」とわかった(笑)。

そしてエアロスミスのライブ開始からおよそ1時間30分が経過。時計は22時を過ぎ、ライブは終幕に近づきつつある頃、スタジアムはこの日最大の盛り上がりを見せることになる。

17曲目(!)のLivin' On The Edgeが終わった後、スティーブンのMC。英語が多くて聞き取れない言葉が多かった中、この言葉だけはハッキリと聞き取ることができた。

タイラー「タク、アンド、コーシ!!」

そう言ってスティーブンが稲葉と松本を呼びかける。もちろん場内は大歓声が沸きあがる。そしてステージ脇から再びB'zが登場。日米トップロックバンドによるジャムセッションが始まった。演奏された曲はTrain Kept A Rollin'。イントロからもうノリノリのハイテンポなナンバーだ。そしてAメロから稲葉が歌う姿がスクリーンに映し出されると会場内はもうわけのわからない凄まじいテンションに。この時の会場の雰囲気はとても言葉で表せるものではない。今まで生きてきてライブでこんな鳥肌が立ったのは初めてだった。
途中では1本のマイクを奪い合うようにスティーブンと稲葉が顔をくっつけながら、これでもかと言わんばかりに交互にシャウトを連発。さらにギターソロでは松本とジョー・ペリーとブラッド・ウィットフォードが3人並んでそれぞれ交互にギターを弾きまくる。そのたびに場内からは大歓声があがる。
・・・お祭り騒ぎ。この最後の1曲のステージはまさにそんな言葉がぴったりだった。そして何と言ってもステージに立っている全員が本当に楽しそうな表情で演奏している。稲葉さんのあんな嬉しそうな表情は初めて見ましたよ(笑)。

演奏が終わっても場内はいつまでも拍手と歓声が鳴り止まない。最高の盛り上がりを迎え、ライブは幕を閉じる。稲葉が「エアロスミース!!」とエアロスミスをたたえるように叫ぶ。スティーブンの方も「ドウモアリガトウ!!」と日本語で叫んでいた。

そして夢のようなライブは終幕を迎える。メンバーが1人1人、拍手と大歓声に包まれながらステージを去って行く。そして最後に残ったスティーブンの意外な一言でライブは幕を閉じた。

タイラー「バイチャ!!!!」

もう、スティーブン最高(笑)。



B'z & Aerosmith
2002 FIFA WORLD CUP KOREA/JAPAN OFFICIAL CONCERT at 東京スタジアム(2002/6/27)

B'z
  1. juice
  2. DEVIL
  3. ZERO
  4. love me, I love you
  5. Warp
  6. Blue Sunshine
  7. GO★FIGHT★WIN
  8. STAY GREEN 〜未熟な旅はとまらない〜
  9. Calling
  10. 熱き鼓動の果て
  11. FIREBALL
  12. Liar!Liar!
  13. さまよえる蒼い弾丸
  14. ギリギリchop
  15. ultra soul

Aerosmith
  1. Back In The Suddle
  2. Love In An Elevator
  3. Just Push Play
  4. Jaded
  5. Mama Kin
  6. Pink
  7. Girls Of Summer
  8. Stop Messin' Round
  9. Dream On
  10. Draw The Line
  11. I Don't Want To Miss A Thing
  12. Cryin'
  13. Walk This Way
  14. Uncle Salty〜Sweet Emotion

  15. Encore.
  16. Theme From Spiderman
  17. What It Takes
  18. Livin' On The Edge
  19. Train Kept A Rollin'


-おわりに-

ライブが終わり時計を見ると、予定終演時刻の21時30分を大幅に過ぎ、22時15分を指していました。17時前から始まり、およそ5時間30分の長丁場。しかしそんな時間の長さを全く感じさせない、非常に密度の濃いライブでした。ワールドカップという舞台があったからこそ実現できた夢のようなライブイベント。翌日になってもなんだか本当にあったことなのかどうか疑問に思ったりもしたのですが、各スポーツ紙に掲載された記事を見てようやく実感が湧いてきました。まさに私にとってもう1つのワールドカップに参加できたような、そんな夢心地を味わうことができて光栄に思います。

B'zのライブはもう何度も参加したことがありますが、とにかく僕はエアロのライブを体験したことがなかったので、未知数の部分が多かったんですよ。だからエアロのライブが始まる前は正直自分がライブを本当に楽しめるのか、不安な部分もありました。しかし1曲目から僕の不安をぶち壊してくれたエアロには本当に衝撃を受けました。次回エアロスミスが来日公演することがあったら、私は間違いなく参加するでしょう。もともとエアロのCDはライブベスト盤一枚しか持っていなかったので、次回のライブまでにもっとCD聴いて勉強します(笑)。

そしてB'zの方は次は横浜です。これも次回までに「GREEN」聴いてしっかり覚えてから参加します。今回のイベントもB'z以外のアーティストではエアロとの共演は務まらなかったでしょう。この日、日本人であることと、B'zファンであることを改めて誇りに思えるような気持ちにさせてくれたB'zには本当にありがとうと言いたいですね。

最後に、このイベントに参加した皆さん、長い時間、本当にお疲れ様でした。次回のLIVE-GYMもしくはエアロの日本公演で、また会いましょう。

2002.6.30 Y.Tanaka


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