B'z
LIVE-GYM The Final Pleasure "IT'S SHOWTIME!!" FINAL at 渚園(2003/9/21)

- はじめに -

2003年夏のFinal Pleasureツアー。その最後を飾るのは10年ぶりの渚園。そしてこの日はB'zのデビュー15周年、かつ16年目への第一歩となる日でもありました。ライブはもちろんですが、こういう記念すべき日にB'z本人達と、そしてファンの人たちと一緒に同じ時間と空間を共有できたということが何より嬉しかったし、幸せに感じました。心配された台風も、終わってみればライブ途中から雨はやみ、ラストは物凄い量の打ち上げ花火が上がり・・・それはまさにB'zとファンが一体になって巻き起こした奇跡的な光景でした。
あとがきにも書きますが、この日はライブ以外でも、まさにB'zづくしな一日で、忘れられない経験になりました。
それでは、ライブレポートをお楽しみください。



◆車で出発◆

今回の会場が発表されたとき、正直「マジ?」って思った。渚園て・・・どこだよ?って感じ(笑)。でも先行予約で申し込むとき、迷わず渚園を選んでる自分がいました。何と言ってもFinal Pleasure。行かないわけがない。というかLIVE-GYMなしでは僕の夏は終わりませんので。

会場まで電車で行くか車で行くか最後まで悩んだが、当初の予定通り車で行くことに。しかしこの日は朝からあいにくの雨。台風が近づいているということもあり、最悪中止もありうるのではと心配しつつ、朝8時頃、地元を出発。車内のBGMはもちろん発売されたばかりの"BIG MACHINE"。ライブではこのアルバムの中から演奏されるのかな、と考えながら東名高速をひた走る。

渋滞を考慮して早く出発したのだが、特に渋滞にハマることもなく、予想以上に順調に浜松西インターに到着。時計はまだ12時前だった。まだ時間も早いし、腹減ったってことで、インターを下りてすぐの鰻屋でうな重を注文。これが激ウマ(笑)。

◆駐車場探し◆

満腹で幸せ気分になったところで、いざ渚園へ。会場に近づいていくともう周辺はB'zファンだらけ。まだ開場の1時間くらい前だというのに、物凄い数のファンが行列をつくっていた。その光景を見るだけで自然と気持ちは高揚していく。しかし私にはまずやるべきことがあった。駐車場を探さなければならないのだ(笑)。

とりあえず会場周辺をウロウロするが、それらしき施設は見当たらない。仕方なく隣の駅近くまで行くと、なにやら大きな駐車場発見。一度は入ったものの、そこは地元の競輪場の駐車場だったことが判明(笑)。再び渚園近くをウロウロしていると、会場から数分のところに臨時駐車場を発見。有無を言わさず入場。全部で10台も入らないようなすんげー小さい駐車場で、あと数分遅れていたら停められなかっただろうと考えると、「なんか今日ツイてる?」って思ったりして(笑)。

とりあえず車の中で数分ばかり仮眠を取る。ちなみにこの時の車内のBGMはLIVE-GYM 2001 "ELEVEN"のセットリストを編集したMDだった(笑)。

◆いざ会場へ◆

開演から2時間30分前となった15時頃、雨が降りしきる中、車を降りていざ会場へ。会場へ向かうファンはほとんど皆ポンチョを着ていたが、中にはTシャツだけの人もいて。僕は昨年のFIFAのライブの時のポンチョを着ていったのですが、同じものを着ている人が沢山いて、なんだか嬉しい気分になった。(ちなみにポンチョの下には2000年のjuice稲葉Tシャツを着てました)

入り口にたどり着くと"Welcome to LIVE-GYM The Final Pleasure"の看板が。物凄い人だかりの中、その看板をくぐり場内へ入る。
雨も降っており、足元もぬかるんでいてとても歩きづらい。入るとすぐ右手に飲食コーナーがあったが、そこの入り口付近が水浸しで、軽い湖ができあがっていた(笑)。とりあえずお目当ての会場限定グッズを求めに、グッズ販売の列に並ぶ。途中大きな水溜りを通らなければならず、その時点で靴の中は水が染み込んで大変な状態に。でも一度こうなってしまえば後はもうどうにでもなれ、って感じで(笑)。逆にテンションが上がる。

◆グッズ購入◆
30分ほど並んだところでグッズ売り場に到着。Tシャツなどは既に通販で購入済みだったので、ここでは「観戦キット」と会場限定のペットボトルを購入。一緒に参加した知り合いの人は友人へのおみやげって言ってペットボトル4本購入してた(笑)。

写真はそのグッズとチケット、および入場時に配られた「プレマガ」とペンライト(サイリウム)。

渚園公演で販売されたキットは2,500円で、中にはシート、オペラグラス、ゴムボール、チケットホルダー、そしてなぜかバンソウコウが(笑)。
グッズを購入した時点で16時30分を回っていた。開演まであと1時間弱。いざブロック内へと向かう。なんせ5万人ものファンが全員アリーナ席にいるようなものだから、その光景は今まで見たことのないものだった。

今回の私の席はD−3ブロック。ステージからの距離は想像以上に近かった。この日のステージセットは不死鳥のようなセットでめちゃくちゃカッコイイ。私は比較的スペースに余裕のあるブロック後方に陣取り、開演を待つ。

◆様々な演出◆

待ち時間の間、ファンを飽きさせないよう様々な演出が用意されていた。スクリーンにファンの顔をアップで写し、パシャっと写真をとったかと思えば、そのファンの顔の部分だけ稲葉さんと入れ替わってまっちゃんとのツーショット映像になったりして。

あと男女で来ていたファンを映しては、スクリーン上に「カップル?」とか「友達?」とかいう文字が描かれて、写っていたファンの人が「違う違う」とか「そうそう」とかうなずいたりして。あと「どこから来たの?」って質問もあって、大分から来たという人たちも。場内からは拍手があがっていた。

また、B'zクイズとかいうのもあり、「BIG MACHINEは何枚目のアルバム?」という問題や、「稲葉さんと松本さんの携帯にカメラはついているか?」という難題も。正解は「二人ともついてる」だった。他には「Pleasure2000の歌詞で、主人公はどこへ行ってしまった?」という問題も(正解は「旅」)。

開演時間の10分前くらいになると、「Pleasureで演奏して欲しい曲リクエスト」の集計結果が発表された。結果は以下の通り。

・第5位 ギリギリchop
・第4位 Brotherhood
・第3位 月光
・第2位 TIME
・第1位 恋心

それぞれ発表されるたびに拍手やら歓声がわきあがる。恋心の発表のときは1コーラスだけ音源も流れ、ファンの人は皆振付けで踊ってました。「果たしてこれらの曲は今日演奏されるんでしょうか?それは誰にもわかりません」みたいなアナウンスもあり、思わず気分が高まる。僕は「Brotherhood」が聴けたらどんなに嬉しいだろう・・・って考えてました。

そして開演まであと少しというところで突然スクリーンにアナウンスが。
「ここで皆さんに残念なお知らせがあります。昨日の公演でB'zのボーカリスト稲葉浩志が高所から落下し、かすり傷・・・・・・ひとつなく、全力で本日のライブにのぞみます。」

そういうオチかよ(笑)。どうも後から聞いた話ではこの演出、95年の千葉マリンの時もあったみたいですね。僕はその時のライブ行ってないので知らなかったんですが。あと開演前のBGMにはLINKIN PARKやIncubusなど、個人的にも好きで聴き込んでるアーティストの曲がたくさん流れていたのがまた嬉しかったですね。

◆ライブスタート◆

そして開演の17時30分を5分ほど過ぎた頃、ステージが暗くなり、場内大歓声。スクリーンには当時のBGMとともに過去のLIVE-GYMの映像が次々と流されていく。OFF THE LOCKからPleasure'91、IN THE LIFE、RUN・・・9th Bluesツアーの映像が流れたときには思わず「あぁー行きたかったなぁー」って思いました。

SURVIVEツアーのときにDEEP KISSのあの心音のようなイントロも流れてきて、DEEP KISSが大好きな僕にとってはその時点で心臓が爆発しそうに興奮したのを覚えている。そしてブラフツアーのオープニング時に流れていたBrotherhoodのストリングスバージョンが流れたり、juiceツアーのオープニングで飛んでいた巨大風船の映像も出てきたり。ELEVENの映像では[T]が流れ、記憶に新しい昨年のGREENのオープニングSEも当時の映像とともに流れていた。

最後に「The Final Pleasure IT'S SHOWTIME!!」の文字がスクリーンに映し出され、大歓声に包まれる場内。すると1分7、8秒くらいの状態からカウントダウンが始まった。ラスト10秒は場内全員でカウントダウン。極度の興奮状態で1曲目は一体何だろうと考える間もなかった。

そしてゼロになると同時に,、サングラスをかけて、笑みを浮かべながらギターを弾くまっちゃんが、アップでスクリーンに映し出される。場内は「ウオオオオー!!」という大歓声。弾いているのは何とアラクレ!!

いやーーーこの1曲目はやられた。全く予想してなかっただけに。昨年のGO★FIGHT★WINもやられたけど、何でこんなにも嬉しい意表を突いてくれるんだこの人たちは。

そして上下真っ白な衣装で稲葉が登場すると場内はさらなる歓声に包まれる。びっくりした。何がって、稲葉の衣装の真っ白さに(笑)。ちなみにまっちゃんは青っぽいジャケットを着ていたと思う。
「とろけるたましい」は場内全員で歌い上げる。また、ところどころで稲葉がシャウトするため、一曲目から場内のボルテージは最高潮に達する。

演奏が終わると息つく間もなくシェーンがカウベルを鳴らす。BLOWIN'だ。この時シェーンの右肩がスクリーンに映し出されたのだが、そこには「渚園」と書かれており、場内大盛り上がり(笑)。もうシェーンはライブのたびに書かざるを得なくなりましたね。東京ドームのときも期待してます。

ラストは「BLOWIN IN THE WIND」のかけあい。稲葉が歌うのに連れて会場も歌い上げる。

演奏が終わると稲葉がブルースハープでなにやら聴いたことのないメロディを吹く。そしてメロディにあわせて「みなさん元気ですか〜♪」とか「生きてますか〜♪」とか「ここは渚園〜♪」とか(笑)歌い上げ、それに歓声で応えるファン。そしてそのままバンドの演奏が加わるが聴いたことのない曲だ。すると突然演奏がやみ、待ってましたのこの一言。

稲葉「B'zのLIVE-GYMにようこそーーー!!!!!」

大歓声に包まれる中、まっちゃんが聴き覚えのあるギターリフを弾く。OH!GIRL!だった。この流れはまさに95年のPleasureツアーと同じ。追々述べていくが、今回のライブはまさにFinal Pleasureにふさわしい、これまでのPleasureの総集編とも言えるライブになった。
2人がステージ端まで移動すると近くのファンからは悲鳴のような歓声が(笑)。

続いて野性のENERGYへ。ここでは演奏にあわせてスクリーンにプロモが流れていて、思わずそっちの方に見入ってしまった(笑)。
演奏が終わりMCへ。

稲葉「渚園ーー!!」
観客「(歓声)」
稲葉「生きてるかーーー!!」
観客「(笑&歓声)」
稲葉「えー、10年ぶりに、この、渚園に、帰ってまいりました。」
観客「(歓声)」
稲葉「今日はB'z15周年ということで・・・まぁ暦の上では16年目の初日とも言えるんですけど」
観客「(おめでとー!&歓声)」
稲葉「今日は皆さん心の底から思いっきり歌って、踊って、ハメ外して、最後までゆっくり、楽しんでいってください。」
観客「(歓声)」
稲葉「皆さん、手拍子は好きですか?」

そう言うと「パン!」と手を叩く稲葉。それとともに観客も手拍子をうつ。さらに「パン!パン!」と手拍子。それにあわせようと観客も手を叩く。しかし稲葉にあわせて手拍子すべきなのか、後からずらして手拍子すればいいのかわからないファンが多く、タイミングがずれてしまう。思わず客席からも笑いが起こる。そして見かねた稲葉が一言。

稲葉「あの、僕にあわせてやらなくていいですよ(笑)」
観客「(笑)」

今度は拍手のタイミングがそろった。すると三三七拍子をたたく稲葉。それにあわせて観客も手拍子。そしていつしか手拍子は聞き覚えのある独特のリズムに変わる。それとともに客席から歓声があがる。
太陽のKomachi Angelだった。もちろんサビの「Angel」とか「Yeah!Yeah!」は全員で歌い上げる。ラストは「Push!Push!」と叫びながらステージ上をかけずり回る稲葉。

演奏が終わると今度はまっちゃんが一人でギターを弾き始める。そしてそのままステージ向かって右側へ歩いていく。雨が降る中、エコーの効いたギターの音色が渚園一杯に響き渡る。その光景はめちゃくちゃサマになっていてカッコ良かった。そしてそのままTIMEへ。雨の降る夜空の下で歌い上げる稲葉の姿もまためちゃくちゃカッコイイ。終わり方は恒例のライブバージョンだった。

演奏が終わり、歓声に包まれる中、曲とともにステージ上のセット全体に星が降っているかのような美しいライティングが。今夜月の見える丘にだった。イントロから歓声があがる。ギターソロはELEVENに収録されているAlternative Guitar Soloバージョンに近いものだった。ラストはステージ上の左から右へと階段状に火花があがる。これはPleasure2000と同じ演出だった。懐かしい。

そして次の曲がこの日一番のサプライズ。イントロから心の中で絶叫。Brotherhoodだった。もちろん私にとって生で聴くのは99年の横浜国際以来だ。そして今回も雨。様々な思いが交錯し、Aメロの時点で思わず涙がこぼれた。歌詞を読んだだけで前サポートドラマーの黒瀬さんが涙を流したというのは有名な話だが、本当に素晴らしい曲だと、この日ライブで聴いて改めてそう思った。

2番のAメロでは「うまくいってるかーーい!?みんな生きてるかーーーい!!??」と絶叫。さらに間奏の「だからなんとかここまでやってこれたんだ!!You know what I mean!!?」ではあまりの凄さに場内から拍手がわきあがる。さらにラストの「We'll be......」ではいったいどこまで続くんだと思わせるくらいの長いシャウト。大歓声があがるとともに、私は鳥肌が立った。

演奏が終わり、感動の余韻に浸っていると、なんと「ザ・ファンクス」のテーマが!(知る人ぞ知るプロレスラーのテーマ曲です)
おいおい、ブラフの余韻ぶち壊しだよ(笑)とか思いながらも嬉しくなって再びテンションがあがる。するとセンターステージの上にある「IT'S SHOWTIME!!」と書かれていた垂れ幕がピカピカと光り始めた。これはもしかして・・・。

しばらくするとスクリーンには97年のFIREBALLのときのセンターステージ移動シーン、そしてGREENのときのまっちゃんの例の映像も映し出され、場内からは歓声や笑い声があがる。まさかジュースの自販機を蹴ってジュース缶まみれになるまっちゃんの姿を再び観れるとは思わなかった(笑)。また、2000年のjuiceのアンコール時に流れていた金魚鉢越しに二人が覗き込む映像も。

しばらくすると突然場内の映像に切り替わり、そこには車に乗って会場の通路を走るメンバーの姿が。最初どこを通っているのかわからなかったが、だんだん歓声が近づくにつれて、客席後方からセンターステージへ向かって移動していることが明らかになった。
メンバーがセンターステージに上がるとその周りからは凄まじい歓声が。そして稲葉がマイクを握る。

稲葉「(客席最後方を指差し)一番後ろ聴こえてますかー?」

一番後ろじゃなくってすぐ近くの人たちから大歓声があがってました(笑)。
ステージ上からはかなり雨漏りがしている状態。

稲葉「なんか、すげー雨漏りしてますけど(笑)」
観客「(笑)」
稲葉「それではここで、バンドのメンバーを紹介したいと思います。せっかくなんで今日は自己紹介形式でやろうかな、と。」
観客「(歓声)」

これは嬉しい誤算。そしてメンバー一人ずつ自己紹介が始まった。まずは増田さん。

増田「こんばんはー!」
観客「(歓声)」
増田「生きてるかー!」
観客「(歓声)」
増田「キーボードの増田隆宣です」
観客「(歓声)」

さすがに増田さんは人気がある。しかもコーラス以外に声を聴ける機会など滅多にないからなおさらファンとしては嬉しかっただろう。

稲葉「増田さんは10年前もこの渚園にいたんだよね」
増田「まぁそれだけトシ食ったってことだよ(笑)」
観客「(笑)」

和やかなムードのまま徳永さんの自己紹介へ。

徳永「こんばんは。ベースの徳永暁人です。」
観客「(歓声)」
徳永「えー、今日は15周年という記念すべき日に演奏できて光栄に思ってます。」

はっきりとスクリーンで顔を見たのは初めてだったが、噂通りの男前。やや緊張気味?だったのか言葉少なだった。でも終始さわやかな笑顔で話していたのが印象的でした。

稲葉「じゃ、シェーン」

もうこの時点で歓声が。何故かシェーン人気爆発してました(笑)。

シェーン「渚園、いらっしゃい、マセ。」
観客「(爆笑)」
シェーン「盛り、上がって、マスカー?」
観客「(笑&歓声)」

片言の日本語で一生懸命話すシェーンは好感度大。ステージ上のメンバーもつられて笑っている(笑)。

稲葉「(笑いながら)シェーン、うなぎ食べた?」
シェーン「チョット、腹、減っタ。」
観客「(爆笑)」

意味不明な会話のやりとりに思わず爆笑。かのデニーフォンヘイザー以上の人気者になりそうだ(笑)。
そして改めて稲葉がシェーンを紹介する。

稲葉「シェーンさん!」

場内からは笑いと歓声と拍手があがる。つーか「シェーンさん」って(笑)。
そしてまっちゃんの自己紹介へ。

松本「こんばんは。松本孝弘です。」
観客「(歓声)」
松本「こんなに待たせてしまってすみません。みんな大丈夫ですか?」
観客「(歓声)」
稲葉「今日この人楽屋でずーっと"みんな大丈夫かな?大丈夫かな??"って、ずっと心配してたんですよ。」

この言葉を聴いたとき思わず感動した。スクリーンには少し照れたような笑みを浮かべるまっちゃんの姿が映し出されている。

松本「ほんと、この雨の中こんなにたくさんの人が集まってくれて・・・(しばしの沈黙)。何て言ったらいいかわかんないな(苦笑)」
観客「(笑)」
松本「とにかくみんな、凄いってことだよ。」
観客「(拍手&歓声)」

B'zがファンのことをどれだけ大切にしているかというのは、これまで痛いほどわかっていたつもりだったが、今日ほど、特にまっちゃんの心の暖かさ、優しさを感じたことはない。
実はそのファンを心配することによってB'zはこのとき既に大きな決断を下していた。それが後にファンの間で大きな波紋を呼ぶことになる。それに関してはまた最後に記述することにする。

稲葉「えー、みなさん、歌う元気ありますか?」
観客「(拍手&歓声)」
稲葉「ちょっとみんなで歌ってみようか。」

そう言うと稲葉が「NANANANANA....」とメロディを歌いだす。それとともに歓声が上がる。Easy Come,Easy Go!だった。最初は皆で「NANANA...」と歌いながら、そのままイントロへ。アレンジはオリジナルとは微妙に違っていた。私は、観客が一斉に手を振り上げて歌う光景はステージから観たらキレイなんだろうなぁ、とか思いつつ一緒に歌ってました。

演奏が終わるとステージが一旦暗くなる。そしてステージ四方にボッと炎が灯ると同時に、流れてきたのはなんと月光。10年前にも渚園で演奏された曲。青いライトがステージに照らされる中、しっとりと、時には激しく歌い上げる。これで月が出ていたらなぁ・・・と思い空を見上げるが月のカケラも見えるはずがなく(笑)。

歓声に包まれる中、MC。

稲葉「えー、せっかくこういう場所に来たんで、もう1曲、やりましょうか。」
観客「(歓声)」
稲葉「歌える人は一緒に歌ってください。踊れる人は踊ってください。」

「踊る」という言葉が出てきたら、もう次にやる曲はファンとしては想像がついたのだろう。あちこちから歓声があがっていた。そして演奏されたのは恋心。見事リクエスト1位に輝いた今日でもある。ちょうど私の位置からセンターステージを観るためには後ろを向かなければならず、そうするとスクリーンが見えないため、振り付けをあまり覚えていないファンの人は結構苦労してたようだ(もちろん私は全部覚えてるので問題なし・笑)。

演奏が終わるとメンバーがセンターステージから退場し、が再び車に乗りこむ。もちろん観客席のど真ん中をその車でステージまで走るので、間近のファンからは物凄い歓声があがっていた。

そして車がステージまで近づいたところで照明が暗転。するとスクリーンには何とLIVE-GYM'96 spirit LOOSEのときのオープニングムービーが流れ始めた。私は当時のライブには参加していないのでもちろんムービーを観るのは初めて。あまりのカッコ良さとその完成度の高さに思わず脱帽。そしてムービーが終わると同時にReal Thing Shakesへ。予想外の嬉しさと驚きのあまり私はこの日一番の興奮状態に。しかしさらなる驚きがこの直後に待っていた。演奏中、それまで空中をゆっくりと徘徊していたヘリコプターが突如、頭上の至近距離を猛スピードで駆け抜けたのである。B'zはヘリコプターさえも演出の一部にしてしまったのだ。なんという演出。前代未聞。スケールでかすぎ!マジで脳みそ飛び出るかと思うくらい興奮した。

しかしこの演出は後半戦への序章に過ぎなかった。続いてはお久しぶりのLOVE PHANTOM。イントロでスクリーンに95年当時のヴァンパイア稲葉が映し出され、大歓声があがる。さらに間奏部分で何と稲葉が鏡の前に立って手袋をつけはじめた。こ、こ、これはまさか・・・・・・。

予想通りだった。95年のときと同じ衣装を身にまとう稲葉。その姿が映し出されるたびに歓声があがる。そしてロープをつかんでステージ上の柱の上まで釣り上げられる稲葉。そしてエレキギターからレーザー光線を出し、稲葉を照らすまっちゃん。"BUZZ!!"の演出の再現である。そして稲葉の足元が爆発し、その場に倒れる稲葉。立ち上がり、マントを脱ぎ捨てる!そして演奏の終わりに「ドーーーン!!」という音と同時にステージへダイブする稲葉。場内からは「ギャーーー!!!」という悲鳴のような歓声が(笑)。

圧巻だった。ビデオで何十回と観た映像が、まさに今現実となって目の前で起こったのだ。私はしばし口あんぐり状態(笑)。しかしまだまだサプライズは終わらない。続いては"BUZZ!!"のときと同じ「ねがい」のイントロが。そしてマラカスを振りつつ、ステージ下から稲葉がせりあがってきた。しかも衣装が95年の衣装とそっくり!というか同じ物だったんじゃないか?

そしててっきりそのまま「ねがい」にいくかと思いきや、馴染みのあるブラス音が。ZEROだった。イントロでは「ハママツゥゥゥーーーーー!!!!!!!」と絶叫する稲葉(ちょっと聴き取りにくかったが、たぶん”浜松”って言ってたと思います)。思わず私も叫びながら右手を突き上げる。もはやLIVE-GYMには欠かせないと言っていいほど盛り上がる曲だ。

ラップ部分はみんなで歌うように煽る稲葉。ここらへんのかけあいはいつもながらほんと楽しい。
ラストは93年のJAP THE RIPPERのときと同じように、まっちゃんのギターから火花があがる。これは10年前よりもさらに巨大な火花でした。しかもかなり長かったので、まっちゃん大丈夫かなーとか一瞬冷静にまっちゃんの心配しちゃったりして(笑)。そして最後はアンプにギターを叩きつけるとともに大爆発。

怒涛のような演出とともに、続いてはjuice!やっぱりお客さんもこの曲は望んでいたらしく、イントロでこの日一番と思えるくらいの大歓声があがっていた。アレンジはほぼオリジナルのままで、間奏での「イェーイェー」のかけあいは例年より少なかった。私は、あーもうjuice聴けただけで満足、と思っていたが、息つく間もなくultra soulへ。ステージ上には様々なフォントで「ultra soul」の文字が光る。稲葉が「ウルトラソウル」とかけ声をかけるまでもなく、自然とファンが「ウルトラソウル!」を連呼。最後はいつものように「ヘイ!」を3回やっちゃうもんだから大変です。

そしてクライマックスはIT'S SHOW TIME!!。イントロはオリジナルよりもかなり長め。2番のAメロで稲葉が「僕に足りないのは?!!」と観客にマイクを向ける。観客は「想像力!!!」と応える。すると稲葉が「YES!!!!」。鳥肌モノのかけあいだ。これはぜひ今後のライブでもやっていただきたい。数あるB'zとファンのかけあいの中でも1、2を争うほどの素晴らしいシーンだった。

終盤、怒涛のようなセットリストであっという間だったライブは一旦幕を閉じる。稲葉が「どうもありがとーーーう!!」と言ってステージを去るメンバー。すぐさま場内からはアンコールの拍手とともにウェーブが起こる。さすがに今回は全面アリーナということもあってウェーブはやりづらかったけど(笑)。

しばらくするとスクリーンに見覚えのある映像が。Pleasure2000-juice-のときに流れた「ファイト一発!!」ムービーだった。崖を登っているまっちゃんと稲葉。互いの手を取り合い、まっちゃんがドアップで「ファイトォォォォォォ!!!!」と叫ぶと、今度は稲葉が「イッパァァァァァツ!!!」と叫ぶ。またそのときの二人の表情がサイッコー(笑)。

そして大歓声に包まれながら再びメンバーがステージに登場。ここで衝撃的な出来事が。何とよく見るとまっちゃん、10年前と同じ白と黒のゼブラ衣装(しかも短パン)を着ているではないか!その姿がスクリーンでアップに映し出されると場内からは大歓声が。さらに両手をつきあげて歓声にこたえるまっちゃん。気が付けばあれだけ降っていた雨がすっかりあがっていた。台風直撃はほぼ確実と言われていただけに、まさにB'zとファンの熱気が生み出した奇跡とでも言うべきだろうか。
そして本日最後の、そしてPleasureツアー最後の稲葉MC。

稲葉「どうもありがとう!」
観客「(歓声)」
稲葉「(空を見上げて)・・・やんじゃった。」
観客「(笑&歓声)」
稲葉「えー、16年目に向けた第一歩を、こうして皆と踏み出すことができて、本当に嬉しいです。みんなの愛に支えられて、僕らは15年間活動できているわけで。今日は、会場の誰一人が欠けても、今日のライブは成功しなかったと思う。(客席後方を指差し)一番後ろのキミ!キミが欠けてもダメだった。また何年か後に、また、この渚園でライブできればいいなと思います。」
観客「(歓声)」
稲葉「みんな、かっこいいよ。」
観客「(歓声)」
稲葉「どうもありがとう!!」

そしてそのまま裸足の女神へ。何故だか自分でもわからないけど、他の会場で聴く裸足の女神よりも何倍も感動した。ここではFIREBALLツアーのときのB'z巨大風船がステージに登場。そして10年前と同じように、いつまでも続くかのように「NANANA...」の大合唱。まさに何でもアリ状態のPleasureツアーはファイナルを迎える。

演奏が終わると、巨大風船が一気にしぼむとともに、スクリーンには「READY!」の文字が。一斉に入場時に配られたサイリウムを準備する。そして「Go!!」の合図とともにそれを頭上に掲げる。真っ暗な場内を5万本のサイリウムが照らす。その光景は言葉では言い表せないものだった。

このイベントはこの日、15周年記念日だけの特別なもので、B'zの2人には全く知らせていなかったという。思わず笑みがこぼれるメンバー。そしてRUNへ。15年目が終わり、また16年目の第一歩を走り出すのにふさわしい曲だ。間奏で稲葉が「生きるならーー!!!」と大絶叫。今日のMCで何度か「生きてるかー!?」という言葉があったが、この曲につながっていたのか、と一人で納得(笑)。

最後はバンドの音にあわせてステージ脇から花火が何発も打ちあがる。最後のシメではステージ後方から一斉に、何十発もの火花に近いような花火がドーーン!!とあがる。大歓声に包まれながらメンバーがステージ上に揃う。

稲葉「どうもありがとーう!」
観客「(歓声)」
稲葉「渚園サイコー!」
観客「(歓声)」
稲葉「せぇーのっ!」
観客「(おつかれー!!)」

BGMに眩しいサインが流れ出す。そして最後のPleasureが幕を閉じようとしていた。
すると私のすぐ左側から花火があがり始めた。ステージを往復し、歓声に応える2人。そして中央ですれ違うときに2人が抱き合う。場内からは大歓声があがる。

稲葉「今日みんなが見せてくれた景色は一生忘れません。最高に綺麗でした。ほんとにどうもありがとう!!」
観客「(歓声)」
稲葉「帰り、気をつけて!」

私は何発も何発もあがり続ける花火をただ黙って見つめていた。ほんとに見事な花火だった。「あぁ・・・終わっちゃった・・・」という切なさもさることながら、台風接近のため一時はどうなるかわからなかったという今回のライブを成し遂げたB'z、ファン、スタッフ、そして協力してくれた地元民の人達に、お疲れ様と感謝の言葉をかけてあげたい気持ちになった。

あぁー、でもこれでホントにFinal Pleasureだとは、もったいなさすぎる(笑)。



B'z
LIVE-GYM 2002 "GREEN" 〜GO★FIGHT★WIN〜 at 横浜国際総合競技場(2002.8.30)

  1. アラクレ
  2. BLOWIN'
  3. OH!GIRL!
  4. 野性のENERGY
  5. 太陽のKomachi Angel
  6. TIME
  7. 今夜月の見える丘に
  8. Brotherhood
  9. Easy Come,Easy Go!
  10. 月光
  11. 恋心
  12. Real Thing Shakes
  13. LOVE PHANTOM
  14. ZERO
  15. juice
  16. ultra soul
  17. IT'S SHOWTIME!!

  18. Encore.
  19. 裸足の女神
  20. RUN


-最後に-

とにかく途中で中止だけにはならないでくれ、と心の中で願いながら参加した今回のライブ。しかし終わってみれば雨もやみ、花火もあがり、ここまで読んだ限りでは大成功なライブだったと思うかもしれません。しかし無事に終わらせることができた背景には様々な出来事があったことを、私は後で知りました。

まず驚いたのが、今回のライブは前日のライブから5曲カットされたということ。1、2曲の変更というのは過去のツアーでも何度かありますが、5曲もの大幅カットは前例にないことです。これに関して一部ファンの間では大きな波紋を呼んでいるようです。僕も初めてその事実を知ったときには「台風も来なかったのに何故?」と思いました。

MCでもあったようにまっちゃんは今回のライブ、大雨に打たれながらひたすら開演を待つファンの体調を最後まで心配していたそうです。そして私も目撃しましたが、救急車もライブ開演前から何度か出動していましたし、始まる前から倒れたり体調不良に陥るファンは後を絶たなかったようで。かつ、今回はいつ台風が上陸するかわからないような状態。ライブスケジュールの変更は前日か当日の朝までには決めなければなりません。B'zの2人は何よりもファンのことを一番に考え、結果、曲をカットするという苦渋の決断を迫られることになったのでしょう。

曲が聴けなかったことで不平不満を言うファンの方が多数いるようですが、この日参加した人達は、カットされた曲の代わりに、B'zから精一杯の思いやりと愛情をもらったんです。それは凄く幸せなことですよ。他の日に参加した人達では決して味わえなかったものです。おそらくそれは3年前、Pleasure2000-juice-の千葉マリンスタジアム公演3日目が、雨と雷で途中で中止になったときのものと似てると思います。あの日参加した人達も、曲数は少なかった変わりに、他では絶対得ることのできない大切なものをB'zからもらえたと思います。実際、中止が決定した後のラスト2曲は凄まじい盛り上がり様だったみたいですし。僕はあの時の公演には参加していませんが、もし参加していたら一生忘れないライブになったことでしょう。

話を戻して、この日、9月21日は何と言ってもデビュー15周年記念日。僕は何よりも、そういう特別な日をこうしてB'zと一緒に祝えたこと、同じ時間と空間を共有できたことが一番嬉しかったです。

人間というのは物欲の多い生き物です。最初はライブを体験するだけで満足できていたものが、あの曲やって欲しいとか、何でこの曲やんないんだとか、段々とワガママになってきてしまう。だから当然他の日よりも曲が削られたりしたら不満に思えてしまう。でも、一番辛かったのはB'z本人でしょう。本当のファンならB'zの立場に立って物事を考えるべきです。僕はファンのために今回のような勇気ある決断をしたB'zがますます好きになりました。聴けなかった曲はそりゃ残念ですけど、今後B'zがライブをやっている限り、絶対にいつか聴けることはあるんですから。

いやいや、長々とすいません(笑)。ついこういう話だと熱くなりがちで。
それにしても今回は帰り道までB'zづくしだったんですよ。帰りに寄ったレストランではB'zのTシャツ着た人がたくさんいたし、途中のパーキングエリアなんかもうそこらじゅうB'zファンだらけ。さらに高速のインター下りて、家に帰る途中で寄ったガソリンスタンドでは何故か「もう一度キスしたかった」が流れてるし(笑)。で、家に着いたらB'z PARTYから写真集が届いててそりゃもうびっくり。

稲葉さんもライブ中に「忘れられない」と、目を潤ませながら言ってましたが、2003年9月21日、僕にとっても忘れられない1日になりました。B'zのお二人、ありがとうございました。
そして、一緒にLIVE-GYMに参加したファンの皆さん、本っっっっっ当にお疲れ様でした!
また3ヶ月後の"BIG MACHINE"ツアーで会いましょう。

最後に、これを書いている9月23日は稲葉浩志の誕生日なので一言。Happy Birthday to INABA。

2003.9.23 youhei



B'z consists of TAK MATSUMOTO , KOHSHI INABA