B'z
LIVE-GYM '99 "Brotherhood" at 横浜国際総合競技場(1999/8/29)

-はじめに-
前回の東京ドームのライブレポートが長かったので、今回は短めに書くつもりだったのですが・・・。すみません。前回以上に長くなってしまいました^^;。しかし、今回のレポートでは、お二人のMCをほぼ完全に再現できたと思います。また、当日がライブ途中から雨が降り出し、一時はどうなることかと思っていたのですが、この雨がまた最高の演出になりました。ライブに行っていない人にも、できる限り会場の雰囲気を味わってもらえるように書いたつもりです。今回LIVE-GYMに参加した人もしていない人も、これを読んで、LIVE-GYMに行った気分になってくれれば、また、LIVE-GYMに行きたいという気持ちになってくれれば、最高に嬉しいです。
それでは、ライブレポートをお楽しみください。



東京ドームに続いてやってきたのは横浜国際総合競技場。2002年、サッカーワールドカップ決勝戦が行われる場所だ。
一度見たライブをもう一度見るというのは、感慨も薄れてしまうのではないかと思っていたが、そんなことはなかった。むしろ東京ドーム以上に感動した。彼らのライブなら何度でも見てみたいと思えた。

最寄駅であるJR小机駅に着いたのが午後6時10分。開演は6時30分だ。私は急いで友人とともに競技場へと足を運んだ。この時、空はかなり曇っていて、いつ雨が降り出してもおかしくないような状態だった。
会場に到着すると、私はそのスケールの大きさに圧倒された。思わず「うわっ・・。」と声をあげた。
デカイ。本当にデカイのだ。しかもその敷地内いっぱいに人が詰め込まれているというような状態。あまりに人が多いのでちょっと気持ち悪かったほどだ(笑)。
場内のスクリーンには会場のお客さん達が映し出されていた。すると、なにやら手書きのような文字で「10名にプレゼントがあります。椅子の下を見てごらん!」と映し出された。
会場のみんながすぐに自分の椅子の下を確認する。しかし私の周りでは当たった人はいなかった。スクリーンには幸運にも当たった人が映し出されている。どうやらB'zのサイン入り色紙(?)が当たったようだ。会場内からは当選者の人に向けて拍手が送られていた。場内は和やかな雰囲気に包まれている。そして、「そろそろはじまるよ!」という文字がスクリーンに映し出された。無論、客席からは大歓声があがり、アリーナ席の人達はすでに総立ちになった。

それから2,3分経ったころだろうか。突然照明が暗転し場内は真っ暗に。場内は騒然となり、あちこちから歓声が飛び交う。すると、綺麗なストリングスが聞こえてきた。東京ドームのときは何の曲かわからなかったのだが、今回ようやくわかった。Brotherhood (strings version)だったのだ。真っ暗な会場内にクリアパープルの照明が照らされる。これから壮大なドラマが始まるかのようなオープニングだった。
演奏が終わると、突然ステージの両端からB'zが登場!……かと思いきや、そこにいたのはB'zの格好をした子供、”チビB'z”だった!聴いたことのないBGMとともに、チビB'z(稲葉)はステージ左側から、そしてチビB'z(松本)はステージ右側からギターを持ってゆっくりと歩いてきた。しかし、二人がステージの中央にたどり着く前に、またステージは暗転する。場内のあちこちから歓声があがっている。するとどこからか子供の声で英語のナレーションが聞こえてきた。何を喋っているのかはよくわからなかったが、最後の言葉「Brother」だけははっきりと聞き取ることができた。

すると突然照明が明るくなるとともに、ギリギリchopのイントロが流れてきた。イントロから稲葉が思いっきり叫ぶ。一気に会場のボルテージが上がる。この日は(エキストラ公演を除くと)スタジアムツアー最終日だったので、私は稲葉の声の調子が心配だった。ところがそんな私の心配はギリギリchopを聴いた途端に吹き飛んだ。稲葉の声はかすれるどころか、東京ドームの時以上に凄まじかった。
それもそのはず、稲葉は自分の喉に関しては他のどのアーティストよりも気を使っているのだ。彼は喉を痛めないように、夏でもエアコンは一切つけない。だから稲葉の楽屋はいつも蒸し暑くて、スタッフも近寄り難いほどだそうだ(笑)。他にも、ハチミツをなめるなどして、常に喉を壊さないように気を使っている。プロ魂というやつだ。
あっという間にギリギリchopが終わると、場内からは凄まじい大歓声が沸きあがる。

すると今度はF・E・A・Rのイントロが流れてきた。7月の東京ドームでは、アルバム「Brotherhood」が発売されたばかりということもあって、曲についていけないファンも多かったのだが、今回は違った。サビでは観客全員で「Yeah!Yeah!Yeah!」と叫ぶ。最後の稲葉の「shall we dance?」に対しても大歓声が沸きあがった。

このころから空模様が怪しくなってきた。時々、ゴロゴロと雷の音が聞こえて来るようになったのだ・・・。
しかしそんな不安も吹き飛ばすかのようなMCへ突入。

稲葉が大き目のコップを持ち、ステージ脇のカメラを呼ぶ。稲葉の顔がスクリーン一杯に映し出される。舌を出しておどける稲葉。観客は大歓声だ。そして、コップの中の水をグイっと飲み(実際にはコップの中には水は入っていなかったと思われるが)、コップの底がスクリーンに映った。そこには、「B'zのLIVE-GYMへようこそ!」と書かれていた。客席からはまたまた大歓声。水を飲み終わると稲葉がコップの底を見ながらなにやらブツブツ言う。

稲葉「・・・び、びー・・ず・・?らい・・・?・・・?※Φ∴∞??」

わざと何のことを書いてあるのかわからないように読む。客席からも思わず笑いがこぼれる。しかし、やっぱりこの言葉を叫んでくれた。

稲葉「B'zの・・・。」
観客「(歓声)」
稲葉「B'zの・・・!」
観客「(歓声)」
稲葉「B'zのLIVE-GYMにようこそーーーーーーーー!!!!」」
観客「(大歓声)」

ものすごいテンションのままLiar!Liar!へ。
この曲はB'zの楽曲の中でもかなりキーが高い。にも関わらず稲葉は見事に最後まで歌いきった。
東京ドームのときも感じたのだが、稲葉は歌番組などで歌うよりも、ライブで歌ったほうが歌が格段に上手い。(これはB'z以外のアーティストにも言えることだと思うが)やはりアーティストにとって大勢の観客の前で歌うというのは最大の喜びであり、普段以上に歌にも力が入るのだろう。

Liar!Liar!が終わると、一転して美しいアコーディオンが流れてきた。HOMEだ。会場で聴いていて改めて思ったのだが、この曲はめちゃめちゃいい曲だ。切なくも美しいメロディーに稲葉の声が乗る。サビでは稲葉が会場にマイクを向け、全員で「HOME」と歌った。
HOMEが終わると、TIMEが流れてきた。ステージセットのパネルに、これまでの二人の軌跡みたいな写真がが何枚も何枚も写し出される。このとき会場は手拍子もせず、みなB'zの演奏に聞き入っていた。

TIMEが終わると、ステージは暗くなる。客席からは拍手とともに、あちこちから歓声があがっている。
再びステージが明るくなり、稲葉がマイクを持つと、場内は物凄い大歓声につつまれた。再び稲葉のMC。

稲葉「ヨ・コ・ハ・マーーーー!!」
観客「(大歓声)」
稲葉「久しぶり!」
観客「(久しぶり〜!)」
稲葉「元気だった?」
観客「(元気〜〜!)」
稲葉「僕らもギ・ン・ギ・ンに元気です。」
観客「(大歓声)」
稲葉「え〜、今日は、みなさんの日頃の行いが素晴らしいおかげで、どんよりして、暑くて、湿気があって、不快指数の高い、最高の天気になりました。」
観客「(爆笑&大歓声)」
稲葉「おかげで僕らも、もう、頭からバケツで水をかぶったようにびしょ濡れです(笑)。」
観客「(笑)」
稲葉「(空を見て)今はまだ見えないけど、1時間後には星がいっぱい見えるようになってるからね。」
観客「(笑&歓声)」
稲葉「え〜、今日はみんな、思いっきり、腹の底から、たまってるものを全部吐き出して、もう・・・・・・なんか、もう、変なモノが出てきちゃうくらい、叫んじゃってください。」
観客「(爆笑&歓声)」
稲葉「もう夏休みも、夏自体も終わろうとしてますけど、今日は、後悔しないように。悔いのないように。自分なりに、楽しんでいってください。周りなんかいいの、どうでも(笑)。」
観客「(笑&歓声)」

不思議な気分だった。いつもTVで見ているときには、まさに雲の上の存在だった彼らなのだが、ライブ会場でこうして歌やMCを聴いていると、彼らがとても身近な存在に思えた。
MCが終わると、暗闇にわずかな照明が照らされながら、綺麗なストリングスの音色が聞こえてきた。ながい愛だ。ニューアルバム「Brotherhood」に収録されているロックバラードナンバー。稲葉がマイクスタンドを両手でしっかりと握って歌う。
熱唱。まさにそんな言葉がピッタリだった。

バラード系が続いたところで、ガラッと曲調が変わった。銀の翼で翔べだ。
この曲のとき、私は絶対にやってやろうと思っていたことがある。それは、「もう要らねえー!聞きたくねえー!」の部分で「HEY!」と手を上げて叫ぶこと。東京ドームのときは、そこまで覚えていなかったので、それができず、非常に悔しい思いをしたからだ(笑)。
私はもう1番のサビの部分からスタンバっていたので、見事、悲願達成することができた(笑)。 サビの「とってもスウィ〜〜〜ト」は、会場全員が甘〜い声を出して歌っていた。

続いてSKINへ。アルバム「Brotherhood」の曲が続く。ここで嬉しい誤算が。SKINが終わると、なんとSHINEが始まったのだ。東京ドームでは、この後Easy Come,Easy Go!が演奏されたのだが・・・。私はなんだか得をした気分になってしまった(笑)。ギリギリchopも含めると、Brotherhoodの中から7曲も演奏してくれた。貴重な時間だった。
ただ、このあたりで雷の音がかなり大きくなってきた。会場内からは時折ざわめきが起こっていた・・・。

演奏が終わると照明が暗転。その間も熱狂的なファンは歓声をあげ続ける。
しばらくして、アコギを持った稲葉が登場した。

稲葉「え〜、ここらでちょっとリラックスした曲をやろうかな。」

Easy Come,Easy Go!だ。サビでは全員が手を上に上げ、左右に振っていた。そして全員で「NaNaNaNaNa.....」と歌う。途中、突然演奏が止まり、観客の歌声だけが場内に響き渡る。みんな、何もかも忘れて夢中に歌っていた。会場がひとつになった瞬間だった。最後のサビは非常に長かったため、ずーっと右手を上げていた私は手がつりそうになってしまった(笑)。

演奏が終わると、稲葉がステージ上から去った。そして松本がステージ中央でギターを持って立っている。
大歓声とともに拍手が沸きあがる。みんなこのときを楽しみにしていたようだ。
お待ちかねのソロコーナー。松本のMCが入る。

松本「こんばんは。松本孝弘です。」
観客「(大歓声)」
松本「え〜、実はわたくし、ここだけの話ですけど・・・歌手デビューしました。」
観客「(大歓声)」
松本「まぁ、ヤツの「遠くまで」には遠くまで及ばなかったんですけれども」
観客「(爆笑)」
松本「みなさんのおかげで、トップ10歌手の仲間入りをすることができました。」
観客「(大歓声)」
松本「3月にデビューして・・・今8月だから、5ヶ月ですか。わずか5ヶ月で、こんな大きな会場で歌えるなんて、並の新人じゃないですね。」
観客「(爆笑&大歓声)」
松本「そんな俺ってBIG?」
観客「(大歓声)」
松本「BIG?」
観客「(大歓声)」
松本「BIG?」
観客「(大歓声)」
松本「超BIG?」
観客「(大歓声)」
松本「OK!THE CHANGING!」
観客「(大歓声)」

THE CHANGING。まっちゃんの記念すべき歌手デビュー作品だ(笑)。本人は「トップ10歌手の仲間入り」と言っていたが、この曲は私が覚えている限りでは、オリコン初登場2位だったはず。だから、トップ10じゃなくて、トップ3歌手の仲間入りだよ、まっちゃん!(笑)。
途中、歌詞を忘れて照れ笑いしていたのがとても印象的だった。

THE CHANGINGが終わるとまた照明が暗転。するとどこからかブルースハープの音色が聞こえてくるとともに、アリーナの一番後ろの方が照明に照らし出された。途端に周辺から物凄い歓声が沸きあがる。
そう、ステージとは反対側の、アリーナ最後方から突然稲葉が登場したのだ!そしてブルースハープを吹いたまま、アリーナ席の中央あたりに設置されている特設ステージへゆっくりと歩いていく。運のいいアリーナ席の人達はもう大変なことになっていた(笑)。すぐそこに稲葉がいるのだ。もし私がそんな状況だったら、気を失ってしまったかもしれない(笑)。

かなり長い時間、稲葉は歩きながらブルースハープを吹きつづけた。そして特設ステージの上にあがると稲葉は両手を上げて観客の声援に応える。わずかに照明が明るくなった。稲葉は会場全体を見渡して、MC。

稲葉「すっごくいい眺めだよ。」
観客「(大歓声)」
稲葉「え〜、せっかく、こういう最高の景色で歌えるんで・・・、ちょっと、しっとりしたやつをやりたいと思います。」

照明が再び暗くなり、稲葉にはライトが数本当たっているだけの状態になる。 ストリングスの音色が聞こえてきた。遠くまでだ。ステージをよく見ると、なんとストリングスは生演奏だった。しかも、ドラムもギターも一切なく、バックはストリングスのみだった。会場内は物音一つしないくらい静まり返り、みんな稲葉に集中している。
このとき、雷がかなり近くまで来ており、時折ピカッと光る。しかしそれが素晴らしい演出効果となっていた。暗闇の中、時々光る雷光。その中で歌う稲葉浩志を想像してみて欲しい。

・・・そして、演奏が終わった。誰もがそう思った。しかし稲葉はマイクスタンドをステージ脇に置き、もう一度ステージ中央に立った。 そして・・・!!

「遠くまでーーーーーー・・・」

なんと、稲葉はマイクなしの生声で歌ったのだ。しかし、演奏が終わったと思った観客が拍手をし始めたので、最初の方はそれで稲葉の声がかき消されてしまう。私は、心の中で「拍手やめろーーーやめてくれーーー!」と叫んでいた(笑)。
祈りが通じたのか、拍手は止み、稲葉の声が横浜国際総合競技場一杯に響き渡る。そして会場全体に聞こえるように声をあげたまま一回転。会場からはため息とともに、再び大きな拍手が沸き起こった。

大歓声に包まれて稲葉が退場する。このとき私は稲葉が退場する近くにいたため、稲葉を間近で見ることができた。気がつくと私は「うをーー!うをーーー!」と、わけのわからない叫び声をあげていた(笑)。もちろん私の周りの観客からも大歓声が稲葉に向けられている。両手を大きく上げて声援に応える稲葉。するとまた観客からは大歓声。もう、キリがない(笑)。

稲葉が退場するとすぐに、ステージが明るくなる。そこには松本がいた。
すると美しいギターの音色が聞こえてきた。GO FURTHERだ。 やっぱり野外は東京ドームよりもギターの音がよく聞こえた。私は松本のギタープレイの一音一音を大切に聴こうと思っていた・・・のだが、到底ムリだった。あまりに速すぎる(笑)。

松本のソロが終わると、稲葉がステージ上に戻ってきた。

稲葉「ではここでみなさんのスバラシイ声を聴かせてもらいましょうか。まぁ要するに「歌をうたう」ということなんですけれども」
観客「(笑)」
稲葉「メロディは簡単です。」

そういうと稲葉は突然あのフレーズを歌い出した。

稲葉「ウォ〜ウ〜オ〜〜ウ〜オ〜ウォ〜〜オォ〜〜〜♪」
観客「(大歓声)」
稲葉「この、シンプルかつ美しいメロディーを・・」
観客「(笑&大歓声)」
稲葉「これ、あの人がつくったんですよ。」

そういって稲葉は松本を指差す。客席からは大歓声があがり、ここでスクリーンに松本が映し出されるが、松本は照れるように隠れてしまう。客席からは思わず笑いがこぼれる。

稲葉「えっ。(メロディーを)覚えられない?じゃぁそういうもの覚えの悪い人のために、もう一度。」
観客「(笑&大歓声)」
稲葉「ウォ〜ウ〜オ〜〜ウ〜オ〜ウォ〜〜オォ〜〜〜♪」

…とこれで終わりかと思いきや・・・

稲葉「ゥォ〜ゥォ〜ゥォ〜ゥォ〜ゥォ〜〜・・・」

なんと稲葉が握りこぶしを作りながら、演歌調にCallingを歌っている。
握りこぶしの稲葉浩志!(笑)
こんな貴重な姿はもう二度と見られないだろう。無論、客席からは笑いとともに大歓声があがる。

稲葉「じゃあ、ちょうど、アリーナ、1階、2階と3つに分かれてるんで、3分割して歌ってもらいましょうか。じゃあ・・・下から行こうか?」
観客(アリーナ)「(大歓声)」
稲葉「いいかい?・・・せぇ〜〜〜の!!」
観客(アリーナ)「ウォ〜ウ〜オ〜〜ウ〜オ〜ウォ〜〜オォ〜〜〜♪」
他の観客「(拍手&歓声)」
稲葉「スバラシイ!」
観客(アリーナ)「(大歓声)」
稲葉「じゃあ次、1階ね。いいかい?・・・・・せぇ〜〜〜の!!」
観客(1階)「ウォ〜ウ〜オ〜〜ウ〜オ〜ウォ〜〜オォ〜〜〜♪」
他の観客「(拍手&歓声)」
稲葉「キレイ!」
観客(1階)「(大歓声)」
稲葉「さて、長らく御待たせいたしました。」
観客(2階)「(大歓声)」
稲葉「じゃ、最後、2階ね。・・・・・・せぇ〜〜〜の!!」
観客(2階)「ウォ〜ウ〜オ〜〜ウ〜オ〜ウォ〜〜オォ〜〜〜♪」
他の観客「(拍手&歓声)」
稲葉「ナイス!」
観客(2階)「(大歓声)」
稲葉「なんかね、ここにいると、天から声が降ってきたみたいだよ(笑)。」
観客(全員)「(笑)」
稲葉「じゃ最後に、この会場全部で行くよ!・・・・・・せぇーーーーの!!」
観客(全員)「ウォ〜ウ〜オ〜〜ウ〜オ〜ウォ〜〜オォ〜〜〜♪」
稲葉「OKーーー!!」

そしてそのままCallingへ。サビではもちろん全員で「ウォ〜ウ〜オ〜〜ウ〜オ〜ウォ〜〜オォ〜♪」と歌う。このとき雨が降ればまさにプロモの再現と思って期待していたのだが(笑)、このときはまだ空は曇り空のままだった。

続いて聴いたことのないイントロが流れてきた。新曲か?と思ったが、このとき流れていた曲はどうやらジェフ・ベックの「FREEWAY JAM」という曲らしい。アルバム「BLOWBY BLOW」に収録されている。そしてその曲にのって稲葉が叫ぶ。

稲葉「♪ヨコハマベイベ〜〜〜!」
観客「Yeahーーーー!」
稲葉「♪ヨコハマベイベ〜〜」
観客「Yeahーーーー!」
稲葉「♪ヨコハマベイベーーーーーー!!」
観客「Yeahーーーー!」
稲葉「それではここで、バンドのメンバーを紹介します!」

今回のサポートメンバーは、増田隆宣(Keyboard)、満園庄太郎(Bass)、黒瀬蛙一(Drums)の3名。一人一人紹介されるたびに、ソロ・パフォーマンスをやってくれた。満園さんは、ソロパフォーマンスのときに激しくジャンプしていたのだが、どうやら他の会場ではコケまくっていたらしい(笑)。でも横浜では大丈夫。ちゃんと跳べてたよ、満園さん(笑)。しかし黒瀬さんはいっつも上半身裸だ。それだけ体も心も熱くなっていたんだろう(笑)。

メンバー紹介が終わると、強烈なギターが聞こえてきた。Real Thing Shakesだ。サビの「Wow wow wow」は会場全員で右手を突き上げながら叫ぶ。この頃から、次第に雨が強く降り出していた。タオルやハンカチを頭にかぶせる観客がチラホラと見え始めた。

Real Thing Shakesが終わると、一気に会場が暗くなり、レーザー光線が照らし出された。LOVE PHANTOMだ。雨もかなり強く降っている。そこへ緑色のレーザー光線が照らし出される。なんとも言えない、幻想的な一瞬だった。観客からも「うわぁ・・」という歓声が起こる。そしてライブは徐々に最高潮へと導かれていく。

今度はさまよえる蒼い弾丸のイントロが流れてきた。もう雨はどしゃぶり・・とまではいかないまでも、かなり激しく降っていた。しかし、ライブの後半の、最高潮のときにこんなに雨が降ってくれたことに私は感謝したい。なぜなら、思う存分ぶっ壊れることができたからだ(笑)。B'zの二人も、これでもかというくらいステージ上を走り回る。物凄い盛り上がり様だった。このときの記憶は正直言ってほとんどない。ただ、稲葉と一緒に思いっきり声をあげて歌っていたことだけは覚えている。

さまよえる蒼い弾丸が終わるとすぐさまドラムとベースの重低音が響いてきた。ZEROだ。ピアノのイントロが聞こえてくるとともに、会場は一気にスパーク(笑)。そして間奏の「人のすることに文句ばかり〜」の部分に入る前に、突然演奏が止まり、増田さんのピアノソロが流れてきた。イントロの部分を少しアレンジしたものだ。そのリズムに合わせて会場は「HEY!」と叫ぶ(横浜に行ってない方にとっては、わかりにくくてすみません)。

そしてラストは松本の圧巻ドリルパフォーマンス!ドリルをギターにつきつけるようにして、ギターでドリルのような音をグイングイン鳴らす。それはまるで「AHHHHHH!!!!!」という叫び声のように聞こえた。(実際、稲葉が一緒に叫んでいたのかもしれない。)激しい雨が降りつづけたせいもあって、会場は物凄いテンションに。

最高の盛り上がりを迎えたところで、MC。

稲葉「やっぱりナマ。ナマじゃなきゃイヤ!ナマじゃなきゃやりたくない!・・・まぁ、それくらい気持ちいいってことなんですけど(笑)」
観客「(笑&歓声)」
稲葉「(ブツブツと)ナマ、ナマ、ナマ、ナマ…………っと。」
観客「(笑)」

ステージ上で激しい雨に打たれながら、稲葉のMCは続く。

稲葉「え〜、みなさんのおかげで、サイッコーの天気になりました。」
観客「(大歓声&拍手)」
稲葉「ほらっ。星が。あんっなにくっっきりと。」
観客「(笑&大歓声)」
稲葉「見えない?見えないの?」
観客「(見える〜!)」
稲葉「え〜、では、僕らとみんなのことを歌った曲を、聴いてください。」

Brotherhood。この曲ができた経緯を二人はこう語っている。

稲葉「レコーディングが終わってから、もう毎晩飲みながら音楽の話やプライベートの話なんかをみんなでしてたんですよ。その日もレコーディングが終わって、飲みながら話している時に、"Brotherhood"という言葉が出てきたんです。」
松本「その時、みんなで一緒の目標に向かって音楽を創っているという一体感をすごく感じていて、こうしてやってこれたし、まだやり続けてられるのも、バンドのメンバーやスタッフ、それだけじゃなくてファンの人達やB'zに関わってくれた人達みんなに助けられているというのを感じて、みんなそれぞれ目標は違っても、B'zのためにって思ってくれる時間があるわけじゃないですか。それに対して感謝する気持ちが強くなっていって、そして次の日にそういうイメージで曲を書いたら、稲葉もその時話してたことを詞として乗せてきたんです。それも自然と。」
(バンドスコア「Brotherhood」インタビューより抜粋)

そう、稲葉の言う通り、この曲はまさにB'zとファンのためにつくられた曲なのだ。サビは全員で「We'll be alright」の大合唱。7万人が一つになった瞬間だった。また、2番の出だしでは

稲葉「うまくいってるか〜〜〜い?!なかなか大変だよなぁーまったく!!」

と、ファンに呼びかけるように歌ってくれたのが印象的だった。

Brotherhoodが終わると、「ありがとう!」と言って二人はステージを去った。ステージが暗くなる。場内はもちろん「アンコール」。激しい雨が降りつづける中、気がつけばいつのまにかウェーブが起こっていた。何回ウェーブが起きたか覚えていない。何度も何度も、B'zの二人が再び現れるまで、Brotherたちはウェーブを続けた。

するとスクリーンがパッと明るくなった。途端に場内は大歓声。しかしそこへ映し出されたのは、金魚が泳いでいる水槽だった。客席は「なぁんだぁ・・」と笑いとため息に包まれる。しかし、しばらくするとB'zの二人がその水槽の向こう側から歩いてくるのが映し出された。場内からはまた歓声があがる。そして二人が水槽を通りすぎた・・・・と思いきや、突然二人が水槽を覗きこむようにして、カメラを見つめる。物凄い大歓声が沸きあがる。
そして再びB'zの二人がステージに現れた。オープニングでチビB'zが登場したときと同じように、稲葉はステージ左側から、そして松本はステージ右側からゆっくりと歩いてきた。しばらく二人はステージを歩き、場内の声援に応える。するとまたステージは暗転。突然聞き覚えのあるピアノのイントロが聞こえてきた。ONE(シングル"ギリギリchop"の2nd beat)だ。この曲も意味的にはBrotherhoodに通じるものがある。B'zの暖かさが伝わってくる曲だ。個人的にも、今までのB'zの2nd beatの中では一番気に入っている。「忘れるわけないだろう」と歌われたときには、思わずグッとこみ上げるものがあった。

そして、この日最後のMCへ・・・。

稲葉「ビショビショ!」
観客「(大歓声)」
稲葉「今日は、みなさんのスバラシイ声と、顔を、拝ませてもらいました。ほんとにどうもありがとう。」
観客「(大歓声&拍手)」
稲葉「え〜…、まあ、このライブが終わったら、みんなはみんなの生活に、僕らは僕らの生活に戻っていくわけなんだけど…。この先、生活していく中で、もう……ほんとにツライときっていうのが、みんなにも、僕らにも、必ずやってくるんだよ。そういうときにね……まぁこのライブのことも忘れるかもしれないけど、今日、ここで、この会場で、みんなでひとつになったっていうことが……、「ポン」ってみんなの背中を押す勇気になると思うんで…。いや、なるはずだと確信してます。」
観客「(大歓声&拍手)」
稲葉「それはね、(ステージから)近いとか、遠いとかじゃなくて、(会場のあちこちを指差し)、みんなつながってるから。(自分の胸に手を当て)ココで、つながってるんだよ。」
観客「(大歓声)」
稲葉「だ・か・ら!みんなもうつながっちゃったんだから!」
観客「(大歓声)」
稲葉「ひとつになっちゃったんだから!!」
観客「(大歓声)」
稲葉「頑張ろうぜ!!!!」
観客「(大歓声&拍手)」

B'zのファンへの暖かさが伝わってくる感動的なMCだった。私はこの先つらいことがあった時も、この日のことを思い出せばきっと頑張っていける、そう思えたし、このとき会場に来ていた全ての人達がそう思っただろう。

MCが終わるとRUNへ。松本がスローテンポでサビのメロディをギターで弾く。1コーラス弾き終わったところで、稲葉が叫ぶ!それに応えるかのように観客も叫ぶ!そのままイントロへ。私を含め、周りの観客達はみんな我を忘れてピョンピョン飛び跳ねていた(笑)。ラストはすぐに終わるのではなく、イントロの部分を繰り返し演奏していた。

RUNが終わると、つづいて場内に何度となく聴いたことのある女性(大黒摩季)の声が。そう、BAD COMMUNICATIONだ。しかも1番からのフル・バージョン!サビでは稲葉が観客へマイクを向ける。会場全員で「BAD COMMUNICATION」と歌う。もう体はクタクタなのに、そんな疲れなど微塵も感じさせない盛り上がり様だった。やはりライブの最後は最高に盛り上がって終わるのが一番だ。B'zは今まで幾度と無く積み重ねてきたライブ経験の豊富さを見せ付けてくれた。

最後にステージ上にサポートメンバーを含め全員で、LIVE-GYM恒例の「おつかれー!」
そしていつしかステージの上はB'zの二人だけになっていた。
突然BGMに夢のような日々が流れてきた。すると、自然に観客全員が声をあげて歌い出したのだ!大きな歓声と歌声に包まれながら、二人はステージの上を端から端まで移動しながら、何度も何度も、ファンに向かって礼をした。そして、ステージ中央で二人が抱き合う。あんなに激しく降っていた雨はいつのまにか止んでいた。それはまさにドラマ、いや、映画のような光景だった。
ステージ脇からはオープニングに登場したチビB'zが登場。花束を持って二人の元へ駆け寄る。B'zの二人は最高の笑顔を浮かべながら、花束を受け取っていた。

稲葉「ありがとう!また会おうね。バイバイ!」

最後に、また礼をして、Brotherたちに手を振りながら二人はステージを去った。
するとバックスタンドの裏側から突然大きな花火が打ちあがった。何発も何発も・・・まるで星のような花火だった。

東京ドーム、そして横浜国際総合競技場と参加したB'z LIVE-GYM。
それは私にとってまさに「夢のような日々」であった。



B'z
LIVE-GYM '99 "Brotherhood" at 横浜国際総合競技場(1999/8/29)

  1. ギリギリchop
  2. F・E・A・R
  3. Liar!Liar!
  4. HOME
  5. TIME
  6. ながい愛
  7. 銀の翼で翔べ
  8. SKIN
  9. SHINE
  10. Easy Come,Easy Go!
  11. THE CHANGING
  12. 遠くまで
  13. GO FURTHER
  14. Calling
  15. Real Thing Shakes
  16. LOVE PHANTOM
  17. さまよえる蒼い弾丸
  18. ZERO
  19. Brotherhood

  20. Encore.
  21. ONE
  22. RUN
  23. BAD COMMUNICATION


-最後に-
このレポートを書いているのは9月5日。ライブから1週間経った今でも、未だに余韻が残っています。もうこれからはLIVE-GYMなしでは生きていけなくなるでしょう(笑)。
B'zは今回のツアーで全国各地を周っていましたが、おそらく他の会場に足を運んだ人達も、私と同じ感動を味わったことでしょう。何度も何度もライブをやっているのにもかかわらず、そのライブに来た人全員にこれだけの感動を与えるということは、並大抵のことではないと思います。プロとしてのプライド、ファンへの思い、切らすことのない集中力、そしてB'zを支えるスタッフたちの思い、それらがあったからこそ、これだけの感動的なライブを創れたのでしょう。
お二人はライブの中で何度も「ありがとう」言ってましたが、私はその度に「何言ってるんだよ、ありがとうを言うのはこっちの方だよ」と思っていました(笑)。B'zのお二人、本当にありがとう。 そして、一緒に歌い、踊り狂ったBrotherたち、御疲れ様でした。また来年、LIVE-GYMで会いましょう。



B'z consists of TAK MATSUMOTO , KOHSHI INABA